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2002/09/06

<鳳仙花>◆北朝鮮「開けゴマ」◆

 小泉首相の訪朝が決まり、日本で北朝鮮に対する関心が高まっている。17日の金正日総書記との会談結果いかんでは、国交樹立が遠くない将来に実現する可能性もある。そして両国間の交流が増え、ベールにつつまれた北朝鮮が身近になっていくきっかけを作るのではないだろうか。そこに初の首脳会談の大きな意味があると思う。

 英国の有力誌「ザ・エコノミスト」8月2日号に「Open sesame(開けゴマ)」というカバーストーリーが載っていた。北朝鮮の対話路線や市場原理の導入など最近の新しい動きをテーマにしたもので、開放路線に転換するにしても課題は多いとしながらも新路線の行方を世界の一流マスコミが注目して見守っていることを示した。

 いうまでもなく、「開けゴマ」はアラビアの「千一夜物語」の中に出てくる有名な呪文であるが、これはゴマの実が完熟すると割れて中から種が飛び出すことからとったものといわれる。ゴマの実同様に北朝鮮の新路線からどんなものが飛び出すのだろうか。東北アジアの政治的不安定要因であるだけに世界の注目点に違いない。

 評論家の竹村健一氏は、月刊「世相」でこの問題を取り上げ、拉致問題についてはっきり目に見える行動が必要だと促す一方で、北朝鮮経済安定のための支援は「めぐりめぐって日本のためになる」と述べている。日本の中に北朝鮮との関係正常化を阻止したい勢力がいるといわれているが、竹村氏の指摘は国際的な視野に立った識見だと思う。

 北朝鮮は情報鎖国を徹底しており、世界でインターネットを普及させない数少ない国だが、今後どう変化していくのか、国際社会が見守っていることを忘れないでほしい。歴史的な変化を起こすことを期待したい。(S)