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2002/06/07

<鳳仙花>◆W杯の最上のもてなし◆

 4日のポーランド戦が行われた釜山アシアードメインスタジアムは約5万人の韓国人サポーターで赤一色に染まったが、その中にポーランドを応援する釜山市民の姿があった。遠いポーランドからサポーターが大挙して押し寄せることは不可能で、「ともに生きる地球村の仲間として交流を深めたい」と、市民575人が参加して応援団を結成し、敵の応援に回ったのである。

 韓国人は愛国心が強く、自国チームとの対戦で敵側を応援するのはつらいものがあったにちがいない。事実、多くの韓国人から白い目でみられ、罵声を浴びたという。顰蹙(ひんしゅく)を買いながら、必死でポーランドを応援した釜山市民の勇気をたたえたいと思う。

 今回のW杯で、韓国は国を挙げて外国人に韓国のよさを知ってもらおうと努力しているが、今回の釜山市民の行動は、まさに最上のコリアン・ホスピタリティー(温かいもてなし)で、試合では敗れはしたもののポーランド国民に好印象を与えたに違いない。

 もう一つ、こころに残るできごとがあった。先日、大邱市内の宝石店で18金のネックレスを盗んだ疑いでつかまったセネガル代表選手に対し、大邱地検は、店主の「処罰しないで」という要請にこたえ、起訴猶予処分とした。

 不憫に思った宝石店の従業員が、フランスと対戦する開幕戦で気落ちしないようにと、「幸運と成功をもたらしますように」とのことばをそえて、この選手に金のペンダント「福豚」を贈った。セネガルの国民も韓国という国のすばらしさを実感したのではないだろうか。

 多くの外国人がコリアン・ホスピタリティーにふれ、W杯は大成功だったと言って国に帰ってほしい。これぞ最高の外交ではないか。(N)