ここから本文です

2002/05/24

<鳳仙花>◆韓国ITベンチャーの再挑戦◆

 先日、韓国からIT(情報技術)関連のベンチャー企業十数社が来日し、商談会を行った。韓国ではITブームが過ぎ去り、生き残りをかけた厳しい時代に入ったと聞いていたので、一時の勢いは衰えたのではないかと思いながら商談会をのぞいてみたが、そうした心配をよそに会場は熱気につつまれていた。

 20代、30代の若い社長たちが自社の技術をパソコンの画面を見せながら説明する姿は、ブーム時のそれと全く変わらない。教育関連ソフトや動画型のショッピングモール検索システム、ペン型マウスなど、ユニークな技術を紹介するベンチャーもみられ、来場した日本の専門家の評価も「技術面では日本を圧倒している」というものが多かった。

 ベンチャー企業が多数登録しているコスダック市場が、一時の低迷を抜け出し上昇しているのをみても、韓国のITベンチャーが再び息を吹き返していることがわかる。政府がベンチャー企業を評価する重点を以前の「将来の成長性」から「現在の業績」に変えたことも、ベンチャー企業の意識変革につながったかもしれない。

 さらに興味深いのは、サッカー・ワールドカップ(W杯)が、韓日間のIT協力に追い風として働いている点である。大分から参加したある企業関係者も「大分はW杯の開催都市で韓国と地理的にも近く、直行便もあり、関心を持つようになった。高速通信回線網が整っている韓国からどんなアイディアが出てくるのか期待している」と語っていた。

 97年のIMFを契機に、韓国ITベンチャーが登場して5年。業界内の淘汰も確実にすすみ、生き残るべきベンチャーの再挑戦が始まっているようだ。(J)