ここから本文です

2004/08/27

<鳳仙花>◆放映されない五輪名勝負◆

 アテネ五輪も、いよいよ終盤戦に突入し、陸上などのフィールド競技で連日熱戦が繰り広げられている。世界最大のスポーツの祭典だけあって、全世界で約10億人がテレビ観戦しているといわれる。韓国や日本では時差の関係で中継が深夜におよぶため、寝不足気味という人も多いだろう。

 韓国は、前半戦でアーチェリー女子団体が五連覇を果たし、体操男子個人総合で史上初のメダルを獲得するなど、大活躍を見せており、日本も金ラッシュに沸いている。こういった選手の活躍を中継し、人々に感動を与えるテレビの役割は計り知れない。

 しかし、今回の五輪放送を見ていて、ちょっと違和感を感じた。日本のテレビは、自国のメダリストの試合をこれでもか、これでもかと繰り返し流し、予選落ちした選手の試合などはまったく報道しない。放映しても、卓球の福原愛選手など人気者だけを取り上げる偏向ぶりだ。まして、他国の選手の活躍などはほとんど伝えていない。60万人の在日韓国人をはじめとして、日本には多くの外国人が暮らしていることを忘れてはいまいか。

 彼らも当然ながら自国の選手の動静が気になり、応援したいと思っているが、テレビでは見られない。外国人との「共生」を掲げる日本社会であれば、なおさら、外国人選手の活躍ぶりを紹介する配慮があってもいいのではないか。

 韓日はいま、韓流ブームも手伝って過去に例をみない友好関係にある。両国を1日1万人が往来する時代を迎え、相手国への関心も高い。ところが、いま五輪で活躍している隣国の選手にどれだけ注目しているだろうか。何人かの日本の友人に、知っている韓国人選手の名前を尋ねたところ、かろうじてマラソンの李鳳柱の名が挙がったくらいで、まったく無知だった。来年は「韓日友情年」なのに、これではあまりにもさびしい。卓球男子でソウル五輪以来の金メダルを獲得した柳昇敏選手など、世界トップの韓国人選手の名勝負をテレビで流せば、韓国に対する親近感がさらに増すはずだ。(G)