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2004/05/14

<鳳仙花>◆不当な在日高齢者の無年金◆

 日本社会ではいま、年金問題が最大の関心事となっている。年金は、日本人だけでなく、日本に根を張り、この国で暮らし続ける在日韓国人にとっても重要な問題だ。少子高齢化で年金財政の破綻が目に見えているだけに、制度の改正は急務だが、現在も年金が受け取れない「在日無年金者」が数多くいることを忘れてはならない。

 日本の年金制度は61年にスタートしたが、当時は国籍条項があり、在日外国人は加入できなかった。厚生年金(会社員)、共済年金(公務員)は外国籍でも適用されたが、当時はいまと違って差別が根強く、在日が日本の会社に入るのは困難で、公務員になることも国籍の壁で不可能だった。

 81年に日本が難民条約を批准して国籍条項がなくなり、82年から在日外国人も国民年金に加入できるようになったが、20歳から60歳までの間に加入し、25年以上掛け金を払わないと受給資格が得られないという規定から、60歳以上では資格がなく、35歳を超えた人は加入しても25年に満たないためメリットがなかった。こうして在日外国人の多くが年金制度のカヤの外に置かれた。

 85年に基礎年金の導入を骨子とする年金制度の改正が行われ、86年に加入期間が25年に満たない専業主婦などでも「カラ期間制度」(不足分をかけたとみなす)を設けて救済する措置がとられたが、60歳以上の在日は排除され、老齢基礎年金の支給対象から除外された。これによって、78歳以上の在日韓国人約3万人は無年金状態におかれ、生活苦を強いられている。

 このため、京都府など一部の自治体は、「共生社会」の観点から高齢の在日韓国人に手当てを支給しているが、5000円ほどで生活の足しにはならない。日本の植民地支配によって日本国籍となり、再び一方的に日本国籍を離脱させられた経緯からいっても、年金制度で在日韓国人を差別するのは不当であり、在日無年金者の救済を強く求めたい。(G)