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2005/07/01

<鳳仙花>◆自閉症見つめた韓国映画マラソン◆

 「外に出そうと思っても、夫や親族が反対する例もある。在日や韓国の方が日本人より無理解と感じる時さえある」と、自閉症の子を持つ在日の知人から聞かされたことがある。

 自閉症は脳の発達障害の一つで、4、5歳のときに診断がくだされる。人とのコミュニケーションがとれず、また一つのことに固着する特徴がある。外見は普通なだけに、街頭で暴れたり叫んだりしたとき、ただわがままなだけと見られるなど、周囲の理解を得るのが大変だ。

 自閉症患者は日本では約36万人、韓国は4万人以上の患者がいるとされるが、はっきりした数字はわかっていないのが現状だ。

 日本で2日から公開される韓国映画『マラソン』は、この自閉症の青年ヒョンジン君とその母ミギョンさんの生き様を描いた実話である。「障害者手帳の上に涙を流した」と語るミギョンさんが、苦悩の末、息子をマラソンに挑戦させることで自立心を養おうとする姿に胸打たれる。

 ヒョンジン君は02年、春川マラソン大会で完走し一躍注目を浴びた。テレビ出演、手記の執筆、そして映画化の相談を受けたミギョンさんは、「自閉症の子どもを持つ家族たちを勇気付けたい」との一心で、次々に引き受けたという。

 その甲斐あってか手記は大評判となり、映画は520万人を超える大ヒット。4月には盧武鉉大統領と母子との面談が実現するなど、社会的反響を呼んだ。

 ミギョンさんは日本で出版された「自閉児のための生活体育」の翻訳書を読んで、「スポーツを通して本人に自信を持たせると同時に、情緒を安定させる効果があると知った」と、手記に書いている。

 日本で自閉症の子を持つ親たちもこの映画を楽しみにしていると、関係者から知らされた。映画が自閉症理解の一助になることを切に願う。(L)