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2005/03/04

<鳳仙花>◆空に翻る歓迎の太極旗◆

 長い記者生活を送っていると、さまざまな人や出来事に遭遇し、いやな思いをすることもあるが、多くの人と出会って、いい話を聞くと、こういう仕事をしていてほんとうによかったと思う。

 先日、日韓経済協会の瀬戸雄三会長(アサヒビール相談役)にインタビューするため、東京・墨田区のアサヒビール本社に足を運んだときのことである。浅草駅で降り、隅田川にかかっている吾妻橋から川向こうのアサヒ本社ビルに目を向けると、アサヒビールの社旗が翻っているのが目に付き、その横に日の丸と、なんと太極旗(韓国国旗)がはためいていた。

 「はて、きょうは韓国の祝日でもないし、日本企業のビルに太極旗とはめずらしい」。いぶかしく感じながら、役員室で瀬戸会長の取材に臨んだ。インタビューが一段落したころ、「ところで、入り口に韓国の国旗が掲げられていましたが」とうかがうと、「きょうは韓国から大事なお客様がお見えになりますから」という返事が返ってきた。ピンときて、「それは私ですか」と問うと、「そうです」とおっしゃる。

 アサヒビールでは、外国から来客があるときは、必ずその国の国旗を掲げ、歓迎の意を表しているそうであるが、在日韓国系の新聞社にもこのような気配りをしていただいたことに非常に感動した。この習慣は、瀬戸会長の体験から生まれたものだという。

 若いころ、瀬戸会長がフランスにワインの買い付けに行き、片田舎にあるワイナリーをようやく探し当てると、そこに日の丸の旗が掲げてあったという。この心遣いが忘れられないと瀬戸会長は語る。

 人と人との交流、国と国との外交において、最も大切なものは思いやりの心だろう。いま、韓日関係は、独島(竹島)問題などでさざ波が立っているが、「易地思之」(相手の立場で物事を考える)の思いやりの心で、今年の韓日友情年を大成功に終わらせたい。(G)