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2006/11/24

<鳳仙花>◆韓日、フリードマンの光と影◆

 米国の経済学者、ミルトン・フリードマンが16日、94歳で亡くなった。市場における自由競争と金融政策によって経済成長を導こうという「自由主義経済思想」を掲げて、全世界に影響を与えた人物だ。

 フリードマンの政策は、特にレーガン政権とサッチャー政権の規制緩和政策、国営企業の民営化に反映されている。

 フリードマンのこの徹底した「市場優先主義」は、アジア諸国にも大きな影響を与えた。韓国では欧米留学組を中心にフリードマンの思想に基づいた経済政策を取り入れ、現在のIT産業を中心とした経済発展につなげた。

 日本もこの間、国鉄やNTTの民営化をはじめ、自由競争と規制緩和を積極的に推進し、経済回復を成し遂げている。

 この「自由主義経済思想」が世界の経済発展に一定の成果を果たしたことは事実だが、一方では負の遺産として、深刻な経済格差が指摘されている。どんなに働いても豊かになれない「ワーキングプア」と呼ばれる人たちが、米国をはじめ韓国や日本など先進高所得国で増え続け、大きな社会問題となっている。

 韓国の場合、統計庁が年初に発表した資料を見ると、都市労働者の所得格差は約8倍になっている。97年の経済危機当時でも5倍に満たなかったことを考えると、とても厳しい数字だ。日本も貧富格差が深刻化し、非正規雇用者や貧困層の数が急速に増えている。メディアも連日この問題を取り上げている。

 韓国政府は、雇用創出、賃金格差縮小など「新自由主義経済思想」の改善案を打ち出した。日本でも早急な是正策が求められている。他の先進諸国でもフリードマンの功績を評価する一方で、格差是正の取り組みが課題となっている。どうすれば有効な手だてを打ち出せるのか、大きな課題である。(L)