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2006/10/13

<鳳仙花>◆地域共生「めあり」の奮闘◆

 京都にあるコリアンサロン「めあり」(こだまの意)が今年、発足3周年を迎えた。

 「めあり」は、韓国民団京都本部、朝鮮総連京都府本部、それに日本の財団法人京都市国際交流協会の3者が共同で、コリアの歴史や文化、在日コリアンの歴史と現状などを京都市民に伝え、共生を深めようと2003年5月に発足したものだ。

 きっかけは、2000年6月の南北頂上会談だった。刺激を受けた両地方本部が交流を重ね、それを土台に結成に至った。民団、総連と日本の団体が共同で文化交流事業を展開するのは極めて珍しく、画期的な試みといえよう。

 京都では元々、無年金在日高齢者への給付金支給要望など、民団、総連が一緒に取り組んできた歴史がある。そこに日本の団体が加わったことで、スムーズに結成された。

 一番の成果は、ハングル塾やコリアンフード教室などを開催したことだ。ハングル塾は韓流効果もあって当初の2教室が3教室に増え、料理教室も民団・婦人会や総連・女性同盟が中心になって運営し、常に満員盛況という。同胞同士の交流が深まったのはもちろん、京都市民のコリアへの関心を高める上で大きな一助を果たしている。

 京都は在日外国人が約4万3000人、そのうち在日コリアンが約3万人になる。留学生も4000人以上おり、国際観光都市として外国人観光客も多い。異文化交流が受け入れられやすい地域的事情も幸いしたのだろう。

 「京都を多民族共生のモデルにしたい」との信念で続けてきたと関係者は話すが、最近は民団中央と総連中央の共同声明の頓挫、北朝鮮のミサイル発射や核実験強行など逆風が吹いている。しかし、「文化交流の灯だけは絶やさないようにしよう」と、3団体は確認をしているという。

 「めあり」の名は、相互理解の輪が全国に広がることを願ってのことだった。その思いを今後どう伝えていくのか見守りたい。(L)