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2006/09/29

<鳳仙花>◆韓日FTA再開の機運◆

 一昨年末から中断状態だった韓日FTA(自由貿易協定)交渉の再開機運が高まっている。今年5月に札幌で開かれた韓日経済人会議で韓日FTAの早期開催で一致していたが、最近都内で開かれた韓国投資環境説明会で、経済産業省の北村俊明審議官は「日韓関係のさらなる発展に寄与する」として、早期再開への期待をにじませた。

 また、韓国進出の日本企業などの集まりであるソウルジャパンクラブの尾崎栄治理事長も、「日韓FTAが締結され、より自由に行き来ができれば、企業間の協力関係・補完関係が進み、両国の発展に寄与する」と渇望した。

 折しも、安倍晋三・新首相は就任後初の記者会見で、韓国との外交関係の改善をめざすとして、各国とのFTA締結促進を強調した。

 韓日FTAが実現すれば、人口1億7000万人、GDP(国内総生産)基準で世界経済の17%を占める巨大な単一市場が形成される。これは韓日双方の企業にとって競争が激化することを意味するが、世界市場での競争力はさらに強化される効果がある。

 だが、交渉は、水産物の輸入自由化をめぐり、開放を渋る日本側に対して韓国側は強く譲歩を迫り、決裂してしまった。具合が悪いことに、靖国神社参拝問題などで韓日関係がぎくしゃくし、早期再開の機運が損なわれた。それにしても、これだけ重要な交渉が2年近くもたなざらしなのは異例のことである。

 元外相で駐日大使の経験がある孔魯明・日韓フォーラム韓国側議長は、安倍首相の祖父・岸信介・元首相がかつて3年以上中断していた韓日会談再開のため、李承晩大統領の誕生日に祝電を送った事実などを紹介、「韓日間には様々な問題があるが、まずは首脳同士ひざを詰めて話し合うことが大切だ」と強調している。

 心機一転という言葉がある。安倍首相誕生を契機に、早期に韓日首脳会談を開き、懸案のFTA問題も早期締結につなげてほしい。(S)