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2006/08/11

<鳳仙花>◆鉱物資源の宝庫・北朝鮮◆

 北朝鮮と中国の国境の豆満江沿いを粉塵をあげて走る大型トラックの長蛇の列がテレビ画面に映し出されたのを見たことがある。茂山鉱山から採掘した鉄鉱石を載せて、中国側に向かっている光景である。世界最大の鉄鋼生産国、中国にとって、原料の鉄鉱石は喉から手が出るほど大事な戦略物資であり、隣国に豊富に埋蔵されている鉄鉱石を大量に持ち出せることは願ってもないことだろう。

 実は、北朝鮮は世界でも有数の鉱物資源国である。金、銀、銅、鉛、鉄鉱石、石炭をはじめ、マグネサイト、タングステン、ニッケル、モナザイト、コバルトなどの希少鉱物資源もかなりの量が埋蔵されているとされる。そして、原発の燃料になるウランは推定400万㌧に達し、世界最大級のウラン埋蔵国と見る専門家もいる。

 この北朝鮮の鉱物資源開発に最も積極的なのは中国。茂山鉱山で50年間の採掘権を確保、すでに9億㌦を投資しているのをはじめ、特殊鋼に欠かせないタングステンが大量に埋蔵されている金剛山での共同開発も申し入れている。日本は、過去の植民地支配下で開発・採掘の経験もあり、鉱物資源の賦存状況に詳しい。関係企業の間では、朝日国交正常化をにらみ準備しないと取り残されるとの焦燥感もあると聞いた。

 韓国はといえば、大韓鉱業公社が石炭などの共同開発を進めており、南北閣僚級会議では、韓国が生活物資を供給する代わりに、北朝鮮の鉱物資源を開発することに合意をみている。だが、ミサイル発射などで進展していないのは残念だ。

 北朝鮮の豊富な鉱物資源はまだ未開発状態だ。中東産油国を富ませたオイルダラーではないが、韓国とも協力して宝の山を積極的に開発、経済再建に活用すべきではないか。(S)