ここから本文です

2007/03/30

<鳳仙花>◆EU50年の体験に学ぶ韓日◆

 30年近く前、ヨーロッパを旅したことがある。国境を通過する際に、当時のEC(欧州共同体)加盟国の住民たちは、自国のIDカード(身分証明書)をみせるだけで審査もなく、自由に往来していて、とても驚いた。今日では、加盟国をヒト、モノ、カネがフリーパスで行き来できる。

 今年は欧州連合(EU)の実質的なスタートとなったローマ条約(欧州経済共同体=EECの発足)の締結から50周年に当たる。3月25日、ベルリンで記念式典が行われ、加盟国の首脳が一堂に会した。いまや加盟国は当初の6カ国から27カ国に増加、国内総生産(GDP)は11兆1600億㌦に拡大したが、その牽引役となったのは、欧州の中心に位置する隣国同士のドイツとフランスである。

 ロイター通信が配信した式典の写真に、ドイツのメルケル首相とフランスのシラク大統領が顔と顔を寄せ、いまにもキスしそうな親密さで語り合っている場面があり、犬猿の仲だった独仏がかくも親密になったかとびっくりした。

 周知のように、独仏は度重なる戦火を交え、両国の国境地帯に位置するアルザス・ロレーヌ地方は仏領になったり、独領になったりを繰り返し、領土争いの犠牲になってきた。さらに、仏は独ナチスによって占領され、辛酸をなめた歴史がある。それにもかかわらず、二国は恩讐を超え、EU実現の原動力となってきた。独仏の連帯と協力がなければ、今日のEUの発展はなかったといえよう。

 アジアでも、共同体構想が急浮上し、2年前に初の東アジアサミットが開かれ、本格的な議論がスタートしたが、実現への道は遠い。この共同体の中核となるのは、韓日中の3カ国であり、中でも大きな役割を担うのが韓日で、東アジア共同体の実現に向け、クルマの両輪になってほしい。それには、独仏のように首脳が頻繁に会い、相互理解を深めていくことが大切で、EU50年の歴史に学びたい。(N)