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2007/08/31

<鳳仙花>◆韓中経済緊密化の光と影◆

 韓国が中国との国交正常化を果たしてから今年で15周年を迎えた。人間の歳でいうなら、大人の仲間入りを果たす「元服」に当たり、これからどのような成熟した関係を築いていくかが課題となろう。

 かつて韓国戦争時に中国軍と戦い、敵対してきた韓中両国だが、修好後の交流は目を見張るものがある。それを如実に示すのが貿易規模で、国交正常化初年度の92年は63億㌦にすぎなかったが、昨年は1180億㌦に拡大し、中国が米国に代わって韓国の最大の貿易相手国に浮上した。今年は1500億㌦に達する見通しだ。対中進出企業も4万3000社にのぼる。

 こういった両国の経済交流の進展はよろこばしいことだが、急速な接近によってひずみも出てきた。中国産消費財の輸入シェアが3割を超え、それによって国内産業が大きな打撃を受けている。また、安価な中国産農産物の流通も国内の農業の衰退の一因となっており、数年前の「ニンニク戦争」にみられるような深刻な貿易摩擦がいつ再燃するかもわからない状況だ。

 さらには、安い労働力を当てにして中国に進出した中小企業が、中国元の切り上げや外資規制によって撤退を余儀なくされ、倒産に追い込まれるケースも少なくない。

 一方、技術力をつけた中国が、汎用品から脱皮して高付加価値分野に進出し、韓国を猛追中だ。韓国ではいま、中国と日本の間にはさまれて没落するのではないかという「サンドイッチ脅威論」が台頭してきた。日本にとっても、「巨大な象」中国経済への警戒感がある。このジレンマをどう克服していくのか。

 中国は、来年の北京五輪を踏み台に先進国への仲間入りをめざしているが、偽物商品や有害商品の横行、工場から排出される煤煙など環境汚染問題は、解決すべき喫緊の課題だ。これらの分野で先輩である韓国と日本が協力し、3国の経済同盟関係を強化していくことも「中国脅威論」克服のひとつの道だろう。(G)