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2007/04/13

<鳳仙花>◆「韓流」に続く「日流」◆

 「冬のソナタ」や「ヨン様」など、日本では「韓流ブーム」がすっかり定着したが、韓国では、いまちょっとした「日流ブーム」だ。

 かつて、解禁前にも歌謡や映画、アニメなど日本の大衆文化は海賊版という形で韓国で流通していた。しかし、表だって話したりすれば「親日派」となじられ、そうした雰囲気は98年の文化開放以降も続いていた。

 ところが、ここにきて雰囲気が一転、日流が旋風を巻き起こしている。なかでも小説の人気が顕著で、大手書店3月最終週の小説ベスト10には5本の日本小説が入った。

 これまでは、村上春樹や吉本ばななといった作家の作品が一部で人気を集めていたが、最近では「冷静と情熱の間」の江國香織や同名映画もヒットした「世界の中心で、愛をさけぶ」の片山恭一をはじめ多くの日本人作家が大衆的な人気を集めている。なかでも奥田英朗の「空中ブランコ」は14週連続1位、在日作家の金城一紀の「FLY,DADDY,FLY」は10週連続1位を記録した。また、昨年、外国小説年間ベスト10で、日本小説は8作品が上位20位に入った。

 人気の秘密は何か。韓国の小説は理念や分断といった重いテーマのものが多く、クールで斬新な切り口の日本小説が若者の感受性を刺激しているのではないか。また、最近の韓国の読者が「読む楽しさ」や「個の暮らし」を追求する傾向と一脈通じるところがあるのかも知れない。

 小説人気はドラマにも波及している。韓国の友人の話しによれば、日本で放送されたドラマが翌日にはインターネットで見られるという。しかも、字幕入りだ。日本ドラマは「イルドゥ(日本ドラマの略)」という言葉で日本好きの若者のみならず、ごく一般の若者にも浸透しているという。

 「韓流」と「日流」。韓流は日本の年配女性には人気が高いが、日流は若い世代に支持されている。ともかく韓日交流のすそ野はますます広がる。この流れを大切にしよう。(U)