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2008/11/21

<鳳仙花>◆相馬雪香さんを偲ぶ◆

 日韓女性親善協会(森山眞弓会長)の名誉会長で、難民を助ける会の会長だった相馬雪香さん(96)が今月8日、老衰のため永眠された。これまでに何度かお目にかかり、つい半年ほど前、日韓・韓日女性親善協会創立30周年に際してインタビューをさせていただいたときも、かくしゃくとしていてお元気だったのに、残念でならない。

 相馬さんは、周知のように護憲運動を進め「憲政の神様」といわれた政治家、尾崎行雄氏の三女で、インドシナ難民を救おうと、79年に難民を助ける会を設立、日本人で初めて対人地雷禁止の国際キャンペーンに参加するなど、国際社会で活躍する女性の先駆者だった。特に隣国を蔑視するような風潮が色濃かった78年に日韓女性親善協会を立ち上げ、韓国との交流に道を開いたことは高く評価できる。相馬さんは、当時の思いを「すぐ隣の国の人々について何も知ろうとしない。欧米ばかりに目を向けていていいわけがない。理解し合うには会って話し合うしかないんです」と語っていた。

 当時、国会議員に日韓交流をやりたいと訴えたところ、「興味はない。女同士でやったらどうだ」と一蹴され、韓国の国会議員だった故・朴貞子さんにはたらきかけて交流を実現させた。政府も国民も韓国に興味を示さなかった時代に、両国の交流組織をつくるということは苦労が多かったであろう。尾崎行雄氏は、関東大震災の時に井戸に朝鮮人が毒を入れたという話を聞き、「流言飛語に惑わされてはいけない。きちんと真実を確かめることが大事だ」と諭したそうだが、娘もそのまっすぐな性格を引き継ぎ、韓日友好に力を尽くしてきた。

 日韓女性親善協会は、地道な活動を続け、青年交流や児童の絵画展などを通じて、両国の相互理解と友好増進に貢献してきた。「日韓の信頼を築く作業に終わりはない」という相馬さんの志をさらに高め、交流を発展させていってほしいと願う。(G)