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2008/09/12

<鳳仙花>◆韓日が共同対処すべき社会課題◆

 最近韓国で、1人専用座席を備えた食堂が増えているという。1人で食べている姿を他人に見られないようにするため、カウンター左右に上げ下げできる衝立を設置したラーメン専門店まで登場したというから驚きだ。韓国留学経験のある友人は、「外食を1人でする韓国人を見たことはない」と首をかしげたが、このような変化の背景には何があるのだろうか。

 1人暮らしの世帯が増えているのである。その比率は、現在4軒に1軒の割という。統計庁によると、単身世帯は昨年に330万戸を超え、84年の66万戸と比べると実に5倍も増えている。2030年には2軒に1軒が単身世帯になると予想されており、「家族の崩壊」が現実問題になっている。

 単身世帯の形態は多様だが、婚期が遅れた若者層と1人暮らしの老人がその代表だろう。配偶者がいても転勤や子女の留学などのために1人暮らしを余儀なくされている人も36万人にのぼる。

 この単身世帯増加と軌を一にして自殺者が増えている。昨年の自殺者は1万3407人で、10年前の2倍近い。自殺率は10万人当たり21・5人でOECD(経済開発協力機構)平均の2倍に達する。自殺原因に経済難(48%)が多いが、孤独感(12%)も少なくない。ある国会議員の調査によると、自殺原因の46%が厭世観などによる将来への悲観だという。1人暮らしでは日常相談できる人もいず、1人で問題を抱え込んでしまいがちだ。

 日本の場合も、似たような状況にあり、単身世帯はすでに05年で3割に達し、韓国の先輩格だ。自殺者は10年連続3万人を超し、韓国と並び世界有数の自殺大国である。

 韓日とも、かつてとは比較にならないほど豊かで便利な社会になっている。だが、果たして本当に調和のとれた豊かな社会といえるだろうか。単身世帯や自殺者の急増をみると、疑問符をつけざるを得ず、未来社会への不安を抱かせる。韓日間には様々な共通課題があるが、このような問題についても共同で取り組んでほしい。きっといい知恵が生まれると思う。(S)