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2008/08/29

<鳳仙花>◆在日関連出版に国際的評価◆

 当社の書庫には、当然のことながら韓国、北朝鮮、韓日交流史、在日問題などを扱った書籍がずらりと並んでいる。その中に明石書店(東京・千代田区神田)の本が数多くある。この出版社が、いかに韓国や在日に高い関心を寄せてきたかがわかる。

 その明石書店の創業者で、代表取締役社長の石井昭男さん(67歳)が、「アジアのノーベル賞」といわれる「マグサイサイ賞」の受賞者に決まった。差別や人権をテーマに約3000冊の本を出版し、特に在日問題などを社会に訴えてきたことが高く評価された。

 マグサイサイ賞は、1957年に飛行機事故で亡くなったフィリピンのラモン・マグサイサイ大統領にちなんで創設されたもので、同大統領の清廉潔白で人道主義を貫いた人柄に共感した米国のロックフェラー財団が資金を提供し、58年からアジアで社会貢献活動を行っている個人や団体を顕彰している。

 石井社長は、兵庫県明石市の出身で、社名の由来ともなっているが、家の近くに朝鮮人部落があり、彼らが不当に差別を受ける姿を身近に見てきた。これが出版事業で差別撤廃を訴える原点になったという。78年の創業以来、韓国・朝鮮問題からニューカマー(新規定住外国人)、障害者、フェミニズムまで、人権問題を幅広く扱い、日本社会を啓発してきた活動は目を見張るものがある。

 とりわけ、韓国の歴史や文化、在日問題の本を数多く出版し、日本人の韓国理解を助けてきた功績は特筆に値するだろう。最近では、若者向けのグラビア本「韓国の歴史」や、まんが「慰安婦レポート」なども発刊し、活字離れ世代向けの出版も強化している。出版不況といわれる中で硬派の書籍を出し続けることは大変だと思うが、今回の受賞をきっかけに、明石書店がさらに韓国関連本に力を注ぎ、韓日の友好促進に寄与する出版活動を強化していくことに期待したい。(G)