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2009/02/27

<鳳仙花>◆一衣帯水の韓日経済◆

 NHK番組の「クローズアップ現代」で先日、「苦境に立つ韓国経済」をテーマに、成長率が年率マイナス20・8%に陥り、通貨下落に直面している韓国経済の厳しい現状を紹介していた。韓国と日本はともに世界第3位の貿易相手国同士であり、韓国の経済難は日本にも影響が大きいので、他人事ではないというのが番組の趣旨だ。その中で特に、経済難打開へ向けた中小企業の取り組みが目を引いた。

 その中小企業は部品メーカーで、69歳の日本の技術者の指導を得て、何件もの部品開発に成功した。韓国は完成品では世界トップクラスにある競争力を持つが、機械・部品・素材の多くを日本から輸入し、これが対日赤字の原因になっている。中小企業での部品開発成功は対日赤字減少にも貢献するという内容だ。

 本紙に「韓国経済講座」を長期連載している笠井信幸・アジア経済文化研究所理事は、番組のコメンテーターとして出席、個別企業で日本の退職技術者の採用は以前からあったが、韓国政府がこれを政策的に支援し始めた注目すべき変化と解説した。日本では景気悪化で、退職技術者の行き場がないといわれる。隣国で技術を生かすことは双方にとってプラスになるだけに、両国の積極的なサポートが必要だと思う。

 韓日間には、最大の経済課題として貿易不均衡問題がある。1965年の国交正常化以来、一貫して韓国側の赤字であり、昨年は過去最大の327億㌦に達した。だが、年間の対日赤字推移をみると、通貨危機直後に急激に赤字が減っている。これは当時、韓国の生産活動が委縮し、日本からの部品などの輸入が落ち込んだ結果だ。韓国は日本のお得意先であり、韓国の経済難は日本にもマイナスになることを物語るものである。

 両国の貿易規模は800億㌦を超え、経済的にも一衣帯水の関係にある。もっと緊密に協力し支え合っていけば共同発展につながるのは間違いないだろう。(S)