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2009/04/03

<鳳仙花>◆放置された徴用韓国人の遺骨◆

 サンフランシスコ講和条約(1952年)で独立を果たした日本が、すぐに取り組んだ事業が、海外で亡くなった約240万人の戦没者の遺骨収集事業だった。これまでに同事業で31万柱、引揚者などが持ち帰った89万柱を含め約120万柱の遺骨が遺族の元に帰り、現在も調査が続けられている。かかった費用は80億円近い。遺骨とはそれだけ重い存在なのだ。日本軍人の遺骨収集が積極的に進められる一方で、徴用などで連行され亡くなった韓国人については、遺骨収集どころか実態調査が行われることも少なく、事実上放置されてきた。

 この問題が韓日政府間で本格的に取り上げられたのは2004年。韓国に「強制動員真相究明委員会」が出来て、同年の韓日首脳会談で遺骨返還について合意した。しかし、戦後半世紀以上が過ぎたこともあって調査は難航しており、実際は手つかず状態のままだ。それに比べ、これまで地道に調査活動を行ってきた市民団体は細々ではあるが、成果をあげている。

 「強制連行・強制労働犠牲者を考える北海道フォーラム」という市民団体は、道内で犠牲になった韓国人の遺骨発掘作業に取り組み、これまでに20カ所以上の埋葬場所を突き止めた。韓国の真相究明委員会が室蘭の寺院光昭寺に残されていた3体の遺骨調査を行った時も、同フォーラムの協力を受けた。しかし、これまでに身元が判明したのは一部に過ぎない。

 「遺骨は失われた犠牲者のいのちを引き継ぎ、犠牲者の人格を引き継ぐ存在である。そのような存在である遺骨を放置してきたのが日本の戦後史だったのではないか」(北海道フォーラム関係者)との指摘を重く受け止める必要があるだろう。

 日本の外務省は昨年9月、市民団体関係者に「日韓両政府で、徴用された朝鮮半島出身者等の遺骨の返還に向けた作業を、今後とも可能な限り迅速に、ご遺族に返還できるよう対応していく」と表明しているが、韓日両政府とも、首脳会談の合意を誠実に実行してほしい。(L)