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2009/04/10

<鳳仙花>◆超高層ビルの経済学◆

 韓国で念願のロッテスーパータワー(555㍍、112階建て)が来年初めにも、漢江に臨むソウル都心に建てられる見込みだ。また、ソウル西方の麻浦区にはDMC(デジタル・メディア・シティ)ランドマークビル(640㍍、133階建て)がソウル市により9月ごろ着工される。このほかに、ツインビルの仁川タワー(610㍍)、釜山のロッテワールドタワー(510㍍)の建設が進められており、2010年代半ばまでに100階建て以上、500㍍を超す超高層ビルが林立することになる。かつてない超高層時代到来の意味を考えてみたい。

 現在、世界の多くの国が超高層ビル建設に乗り出している。あの都市景観をどこよりも重視するフランスも、パリの新都市ラデファンスに超高層ビル(318㍍)を軸とする都心再開発を進行中だ。特に中東では、サウジアラビアの1600㍍のマイルハワータワーをはじめ1000㍍を超す超高層ビル建設計画が3件もある。ドバイで建設されている800㍍を超す世界一のブルジュ・ドバイを凌ぐ、天にも届けといわんばかりのノッポビル建設には度肝を抜かされる思いだ。中国、香港、台湾では、明らかに超高層ビルを国家の戦略的資源とみなして建設が相次いでいる。

 このように各国が超高層ビル建設に国家的力量を集中しているのは、産業連関効果が大きく、雇用効果、建設景気浮揚、観光名所化、建設技術発展など様々な効果があるからだ。だが、超高層ビルは、単純に高さと規模がもたらす意味を越え、ニューヨークのエンパイアステートビルのようにその都市をブランド化し、都市競争力を強化する強力な力がある。もちろん、技術力が必要であり、強い風と地震に耐えられる構造をつくりあげなければならない。

 ロッテスーパータワーでは、太陽光発電や風力発電設備を備え、エネルギー効率を高める計画というが、建設工法など最新技術が駆使されるのは言うを待たない。国家、都市をアピールできるシンボルである。何百年にわたって朽ちることがないように、設計や施工でも最善を尽くしてほしい。(S)