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2010/06/11

<鳳仙花>◆アジア重視を継承する菅新政権◆

 菅直人新首相を首班とする内閣がスタートした。菅首相は就任会見で、外交について日米基軸を続けると同時に、アジア諸国との関係をより深めると語り、「アジア重視」の外交継承を明確にした。鳩山政権時代に「蜜月関係」だった韓国は、新首相の下でも「未来志向的な成熟したパートナー関係」(外交通商部)を発展させることができると期待している。ぜひ韓国の期待に応えてほしいものだ。

 韓国メディアの反応は概ね好意的で、「3度落選後に衆議院議員になった親韓派の非世襲総理」との見出しを掲げ、「菅新首相は鳩山前首相に劣らず韓国との外交関係を重視するだろう。過去の歴史清算意思も共有している」と報じた。野党時代に菅氏は、小泉首相の靖国神社参拝を批判し、歴史教科書の歪曲是正を促し、定住外国人の地方参政権付与に積極的だった。このような言動を捉え、韓日関係は発展する可能性もあるとみている。また、国家戦略相、財務相を歴任した経験から、韓日FTA(自由貿易協定)の重要性に理解を深めているとされ、この面での進展も期待できる。

 実は、鳩山前首相は韓日関係に大きな置き土産を残した。先の民主党代表選挙政見演説で、菅氏は最後の閣議で鳩山首相から「日米、日中、日韓をよろしくお願い申し上げます」と書かれたメモを渡されたことを明らかにし、鳩山首相が取り組んできた東アジア共同体など4つの大きな課題を「私自身の目標として全力で取り組む」と約束した。

 周知のように、鳩山前首相のアジア重視の外交姿勢は韓国から大いに好感をもって迎えられた。韓日中3カ国首脳会議でも、韓国の哨戒艇沈没事故で犠牲になった46人に黙祷を捧げようと提案し、「苦しい時、日本は信頼できる隣国である」と感じさせた。その鳩山前首相がやり残した課題が過去の歴史問題だった。

 菅首相も過去の歴史を直視する人物とされる。アジア重視のレールから外れず、歴史問題でも大いに成果をあげ、韓日が完全なるパートナー関係を築けるように取り組んでほしい。(S)