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2010/08/20

<鳳仙花>◆李大統領の平和統一ビジョン◆

 李明博大統領が今年の光復節65周年の慶祝辞で、南北関係に関して「与えられた分断状況の管理を超え、平和統一を目標にすべきだ」と提案、平和共同体、経済共同体、民族共同体の順で移行する3段階統一ビジョンを提示した。国内外に平和統一の意思を改めて鮮明にしたものであり、南北関係改善が求められている現状に照らし、時宜にかなった提案だと考える。

 李大統領はまた、統一を準備するための「統一税」の新設を論議することを提案した。「統一のためならぜひ推進すべき」「国民の新たな負担になる」など賛否の論議が起こっているが、統一問題を国民的関心事として公論化させるきっかけにはなったようだ。2年前の光復節慶祝辞で李大統領は、グリーン成長戦略を明らかにしたが、今回は統一問題で新たな流れをつくれるのか注目したい。

 「統一税」については東西ドイツ統一直後にも検討されたことがあった。しかし、経済力不足などで取りやめになった経緯がある。今回は統一費用を含め南北統一の準備をできる自信がついたのかもしれないが、備えあれば憂いなしである。

 20年前の東西ドイツの統一の教訓がある。ベルリンの壁が崩壊し、一気に統一へと進んだ。だが、この準備不足の統一は様々な問題を引き起こし、当時「ドイツ統一はデザイナーがいないまま進められた。それがいまだに後をひいている」と指摘された。韓半島においても望ましい統一のデザイナーが必要だろう。

 南北統一の性格は歴史的に規定されている。平和、自主、民主という統一3原則も、韓国戦争などの歴史的教訓を噛みしめて確立された。平和統一は最優先に追求しなければならない前提である。また、統一過程においてもこれらの原則は守られなくてはならないだろう。

 今回の李大統領の統一ビジョン提示を契機に、統一問題の論議を活発化し、民族が英知を結集して平和的に統一を実現してほしい。(S)