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2010/11/05

<鳳仙花>◆韓日新時代共同研究の提言◆

 韓日両国の学者26人がメンバーの「韓日新時代共同研究プロジェクト」が、1年半に及ぶ研究の末、「韓日新時代のための提言」と題する報告書を発表、今後100年を視野に入れた未来のためのビジョンを提唱している。どんなビジョンかというと、両国のすべての領域で緊密な協調と協力のネットワークを構築し、東アジアと世界の平和と繁栄を図ることが「韓日関係の未来像」だとしている。世界平和も見据えた大変立派なビジョンだが、問題はそのため何をすべきかという実現方法だろう。

 報告書は21の課題を提示しているが、これまでの政治、安保、経済中心の韓日関係を文化、環境、情報・知識、科学技術などソフトパワーに集中するよう求めている。中でも注目したいのは、①各種資料を韓日がデータベース化して誰でも自由に閲覧できるようにし、思想、歴史などを共有する「東アジア知識銀行」②両国大学生間の交流拡大につながる単位交換プログラム「キャンパス・アジア」③両国が共同運営する「文化・教養共同テレビ局」開設などの提案だ。

 隣国関係といえば、かつて何度も戦争を繰り返し、犬猿の仲だったドイツとフランスは近年ではEU(欧州連合)の中軸として極めて緊密な関係にある。過去半世紀にわたる様々な和解の努力の結果だ。例えば、若者たちにはお互いの国を訪問させて理解を深めさせる交流プロジェクトを早くから実施し、18年前からは独仏共同出資の文化テレビ局「アルテ」を運営、同じ番組をドイツ語とフランス語で放送している。両国の学者が執筆した共同の歴史教科書も出版しており、これらは、相互理解を深める土壌の拡大につながった。

 日本側委員長の小此木政夫・慶応大教授は、今回のプロジェクト発足当時、本紙インタビューで「日韓には共通の未来を考えようという努力が不足していた」として、互いに頼りがいのある「良き隣人」になる必要性を強調した。時代の流れは、そのような隣人関係になることを求めているといえないか。「共通の未来」を構築する上で、ともかく深く交流できる仕組みを作ることが大事だろう。(S)