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2010/11/19

<鳳仙花>◆韓日FTAの早期実現を◆

 2004年11月の第6回会議を最後に交渉が中断して丸6年になる韓日FTA(自由貿易協定)が、交渉再開へ向け動き始めた。今月14日、横浜で行われた韓日首脳会談で韓日FTA交渉の早期再開に協力することで一致、次回の首脳会談で取り上げることになった。世界は二国間、地域間で市場統合へと動いており、韓日両国はこのような動きに取り残されないためにも積極的に対応すべきだろう。

 そもそも韓日間でFTA問題が研究されたのは10年以上前に遡る。両国の研究機関で設立した「21世紀韓日経済関係研究会」が2000年に「韓日FTAの実現にはいくつかの懸念はあるものの、関税撤廃効果にとどまらず、外資誘致、競争促進、生産性向上などの効果が期待される」という共同研究結果を発表。さらに03年10月には両国の産官学共同研究会が、韓日FTAは双方に経済的利益があるとして政府間交渉を勧告した。これを受け、翌月から政府間交渉が始まった。

 だが、交渉はわずか1年でストップした。いろいろな理由があげられているが、韓国側は、日本側に対して農業分野の開放が不十分であり、流通構造など非関税障壁を是正していないと指摘。一方の日本側は、FTAが実現すれば日本からの部品・素材の輸入が増え、韓国の産業に被害が出るとともに対日貿易赤字が拡大することを韓国側は懸念しているためだと反論している。

 双方に言い分はあるだろうが、中長期的にみて韓日FTAの持つ意義は極めて大きい。まず、両国市場の一体性を高めることで国境を越えた競争・協力が進み、これが両国の経済構造改革を進展させ、競争力を向上させる効果が期待できる。また、両国関係をより一層高いレベルに発展させ、韓日パートナーシップの象徴にもなり得る。

 両国政府は、非関税障壁問題を議論する実務機関の設置に合意するなど、交渉再開の環境づくりを進めているが、韓日FTAを早期に実現させ、アジアにおける自由貿易のモデルをつくってほしい。(S)