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2011/02/18

<鳳仙花>◆韓日中FTAの積極推進を◆

 5月に東京で開かれる韓日中首脳会談で、3カ国FTA(自由貿易協定)締結のための産官学共同研究を年内に終え、来年から政府間交渉を開始することで合意をみる見通しだ。GDP(国内総生産)規模は中国が世界2位、日本3位、韓国10位で、合計12兆㌦を超える。世界のGDPの20%以上を占める巨大な経済圏であるだけに、FTAが実現すれば世界経済にも大きな影響を及ぼすことになりそうだ。

 3国間の協力は年々緊密になっており、4年前からは各国持ち回りで首脳会議を開催している。また、10を超える各種閣僚級会議も定例化され、貿易・投資にとどまらず、環境や通信、科学技術、大学間協力など多岐にわたって進められている。風力、太陽光、電気自動車、バイオなど未来産業でも今後は協力の必要性は増してくるだろう。FTAは、そのような協力を推進する触媒の役割もある。

 3カ国の産官学共同研究は昨年にスタートし、これまで3回の会議を開いてきたが、これに先立ち10年ほど前から3カ国の研究機関による共同研究が行われた。その結果なども収録した「日中韓FTA その意義と課題」(日本経済評論社)は、3カ国FTAのメリットは東アジア全体にも及ぶとして、早期交渉を提言している。日本ではいま、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に強い関心が寄せられているが、叶芳和・帝京平成大教授は、関税引き下げ効果などはTPPより韓日中FTAの方がメリットが大きいと強調している。

 韓日中FTAの前途には、農業など互いに異なる利害関係をもたらす難題も横たわっている。調整は容易でないが、智恵を発揮すれば克服も可能だろう。東アジアの巨大市場をまとめる最初の大きな絵がまさに3カ国FTAではないか。東アジアの平和と安定にも繋がるだろう。FTA締結をめざし力を合わせ、持続的成長を実現する多国間協力のモデルを示すべく積極的に推進してほしい。(S)