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2011/10/21

<鳳仙花>◆韓国のFTA戦略◆

 米議会が批准したことで、韓米FTA(自由貿易協定)の来年発効の可能性が高くなった。米国が提唱したTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に加わるかどうかで国論が割れている日本では、EU(欧州連合)に次ぎ米国ともFTAを実現させた韓国に遅れをとっている、と焦りの声も出ている。韓国にも日本同様に農業問題の弱みがあり、FTA反対論者の声も大きいが、FTAを積極的に展開できているのは、はっきりした戦略があるからだと思う。

 どんな戦略かというと、リスクをとって、より大きなリターンをめざすというものだ。韓国は、貿易依存度が90%を超える貿易立国である。つまり、経済発展の中心が貿易によって支えられており、輸出が増大できるかどうかは死活問題となる。競争力のある電子など工業製品の輸出を伸ばすためFTAは避けて通れない選択なわけだ。

 問題は国内農業だが、これまでの各国とのFTA交渉で明らかなように主食のコメだけは適用除外にするとハッキリと決め、それ以外のコスト面で競争に勝てない農産物については所得補償などの策を講じる一方、輸出できるように競争力強化策も進めている。その意味で、農業国チリを最初のFTA締結国に選んだのは示唆的だ。発効から7年になるが、心配された国内ぶどう栽培農家への影響は軽微だった。農業対応でいい経験をしたことになる。

 韓国では「経済領土」という言い方がされるが、これは、国内で取引を行うように無関税で貿易ができる地域を指し、GDP比で表す。韓米FTAが発効したら、韓国の経済領土は60・9%に拡大し、チリやメキシコに続き世界で3番目に広い。様々な製品を世界市場に送り出している韓国にとって、市場の障壁が取り払われる効果は大きい。

 韓国は、FTA推進で自由貿易の旗手として国際社会での存在感を高めているが、肝心の日本と中国とはまだこれからだ。韓日中が要の東アジアは今後、世界の中心軸にもなる重要な地域だ。FTA締結に向けての環境づくりを急ぐべきだろう。(S)