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2011/11/11

<鳳仙花>◆視覚障害アナウンサーの挑戦◆

 今年7月、KBS放送にアナウンサーとして採用された視覚障害者の李昌勲(イ・チャンフン)さん(25)が7日、初めて番組出演した。正午のニュース番組の生活コーナーで、ハングルを点字に変換する情報端末を指でなぞりながら、5分間に渡って原稿を見事に読み上げた。視聴者の反応も上々だったという。

 視覚障害者のアナウンサーは世界初ともいわれる。起用された李さんにとっても、起用したKBS、そして障害者の社会参加を促進してきた韓国政府にとっても感慨深いものがあったろう。

 李さんは生後7カ月の時に脳髄膜炎にかかって両目の視力を失い、障害者施設で学んだ。社会の障害者への理解が足りず、タクシーに乗車拒否され悔し涙を流したこともあった。

 歩道や駅の点字ブロックなども整備されていなかったため外出も不自由で、職業を持つことも難しかった。

 韓国政府が障害者政策に力を入れ始めたのは、90年代に入ってからだが、障害者用の施設など環境整備は急速に進み、07年には障害者差別禁止法が成立した。

 今回、KBSが視覚障害者アナウンサー試験を実施したのも、障害者の社会参加を促進するためだった。7月の試験は523人もの応募があった。社会参加を願う障害者がいかに多くいるかがわかる。

 李さんはその激しい競争を勝ち抜いて採用された。放送の仕事にずっと関心を持っていて、公募を聞いてすぐに応募したという。3カ月間の研修でアナウンサーとしての正しい発音、話し方を学び、笑顔も身に付けて臨んだ。

 李さんは放送後、「若干の発音ミスはあったが、努力した成果が出た。私の活動が障害者の社会進出を促し、社会の偏見がなくなる一助になれば」と話した。

 KBSは反響の大きさに、李さんの出番を増やすことを検討しているという。今後も多くの障害者に力を与えてほしい。(L)