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2012/06/01

<鳳仙花>◆2050年の世界経済と韓国◆

 世界の金融業界で最も早くサブプライム問題の深刻化を分析した英大手銀行のHSBC(香港上海銀行)が、2050年の世界経済の姿を描いた興味深いレポートを発表した。

 国連の人口予測と各国の潜在力を踏まえ、主要100カ国の経済力をGDP(国内総生産)規模でランク付けしたものだ。それによると、中国、インドが世界1、3位に上がり、米国、日本が2、4位に下がる。また、ブラジル、メキシコが7、8位に上昇。韓国はGDP規模が現在の2・5倍の2兆500億㌦に拡大するが、ランクはトルコの下の13位に下がる。

 著名な経営学者のドラッカーは、「明日は必ずくる。そして明日は今日とは違う」と言ったが、40年後ともなれば世界経済の版図もこのように様変わりするかも知れない。ことに驚いたのは、GDPを15倍に拡大して16位に急上昇するフィリピン経済の躍進だ。HSBCは、同国の成長要因としてインフラ整備の進展や人口増による労働力強化、教育水準の向上などをあげている。ここで注目すべきは、人口の多い国がいずれも上位にランクされていることだ。

 経済学では、土地、資本と並んで労働力が生産の3大要素だが、人口が少なくてもGDPの大きな部分を占める時代は終わるということだ。このような未来に対して、韓国はどう備えるべきだろうか。

 未来学者のアルビン・トフラーは近著「富の未来」で「韓国は経済の知識基盤を日々、劇的に拡大している」と指摘。またハーバード大学韓国研究所は「速さに敏感なことが現代の韓国が体得した感覚のなかで決定的に重要だ」と分析している。知識とスピードが韓国経済の発展の原動力という見立てだ。知識とスピードを備えた良質な労働力が増え続けたことが韓国経済発展の原動力であったのは間違いない。だが、今後は少子高齢化で、日本同様に人口減少が避けられない。成長のため、新たな原動力が求められる。

 今年末の大統領選挙では目先の課題だけでなく、どんな未来を設計するのか、将来像も論議をしてほしい。(S)