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2012/07/13

<鳳仙花>◆韓国建設輸出が多様化◆

 韓国では海外建設受注のことを「建設輸出」と呼んでいる。輸出立国、韓国の屋台骨を背負ってきたからだ。かつては土木工事中心だったが、現在では高度の技術を要するプラント(産業設備)のみならず、住宅建設などインフラ・都市開発全般を含めたいわゆる「都市輸出」も活発化している。そんな多様化する建設輸出に新たな分野が登場した。河川の復元事業である。

 最近、大宇建設は、アルジェリアから首都アルジェを流れるエルハラシ川の復元プロジェクトを5億㌦で受注した。海外河川の復元事業はこれが初めてだ。エルハラシ川は各種の下水や廃水、ごみが入り混じり、「死の川」とも呼ばれている。同国の水資源部長官一行は、「何とかこの川をきれいにしたい」と清渓川、良才川など韓国の首都圏一帯の河川を視察した。河川復元技術が発達したフランスやドイツなど欧州の河川も視察した結果、韓国企業に発注した。清渓川などの復元事業に感銘を受けたからだという。

 韓国の建設輸出は、このように環境改善にも力を発揮しつつあるが、これまで新興国のインフラ構築に様々な形で貢献してきた実績がある。東亜建設が受注したリビア大水路事業はそのシンボル的存在だ。これは直径4㍍、全長4200㌔の巨大な送水管を豊富な化石水が眠る砂漠の地下に敷設し、一日650万㌧の水を北部地域に供給する超大型プロジェクトで、飲料水確保に大いに役立った。斗山重工業がUAE(アラブ首長国連邦)のフジャイラに建設した大型淡水化・発電プラントも、UAE全体の電気の8・9%、飲料水の11%を供給し国民生活に大切な役割を果たしている。

 そして、先月にはハンファ建設が、イラクの新都市建設事業を78億㌦で受注した。住宅のほか、公園、学校、病院、文化・レジャー施設などを建設し、竣工後の都市マネジメントもサポートする。新興国の都市開発は、環境技術や総合的なスマートシティの輸出にもなる。めざすは環境に優しい都市づくりだ。韓国の建設業界のさらなる頑張りに期待したい。(S)