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2012/12/14

<鳳仙花>◆世界文化遺産になったアリラン◆

 韓国の代表的民謡「アリラン」の調べほど、韓民族の心を揺さぶるものはないだろう。在日1世のある知人はコンサートなどで、「アリラン、アリラン、アラリヨ~」のフレーズを聞いただけで涙ぐむという。アリランは、ある時は悲哀の歌、ある時は喜びの歌、そして植民地時代には抵抗歌として、人々に歌われ続けてきた。

 そのアリランが、ユネスコ(国連教育科学文化機構)の無形文化遺産に選ばれた。ユネスコ文化遺産に登録されたということは、その文化が世界の共通遺産と認められたという大きな意味を持つ。韓国は、宗廟の祭礼・祭礼音楽、パンソリ、江陵(カンルン)端午祭など、これで計15件の無形文化遺産を保有することになったが、アリランが選ばれたことは特に感慨深いものがある。

 アリランは、人々の口から口へと伝承された歌であり、「アリラン」という言葉の語源もはっきりとしていない。歌詞に登場するアリラン峠も伝説上の峠だ。韓国各地に現在あるアリラン峠は、歌にちなんで後から名付けられた。

 新羅時代の歌という説や、高麗王朝末期に江原道旌善(カンウォンドチョンソン)郡で歌われたものとする説など、40以上の学説がある。1926年、日本植民地時代を生きる農民の悲哀を描いた映画『アリラン』の主題歌として歌われて、韓国全土に広まった。現在では編曲されたアリランがサッカーの国際大会やアジア競技大会などで演奏されるほど、韓国人の心に浸透している。

 それほど愛されたアリランだが、一方で保存・伝承の不備も指摘されている。江原道・旌善アリラン、慶尚南道・密陽(ミリャン)アリラン、全羅南道・珍島(チンド)アリランが3大アリランとされるが、その地域でさえも歌い手の養成、史跡や資料の保存・発掘が不十分だという。文化財庁は今回の登録を契機に、アリランの韓国無形文化遺産指定、学術調査・研究支援、定期公演の開催などを推進していくという。世界遺産にふさわしい保存・伝承を行ってほしい。(L)