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2014/08/01

<鳳仙花>◆21世紀の資本論と韓国◆

 フランスの経済学者、トマ・ピケティの大著「21世紀の資本主義」が世界的ベストセラーとして話題を呼んでいる。20数カ国を対象に、過去300年間にわたる膨大な税務データで所得と富の分布を分析し、不平等の歴史的実態を明らかにした初の試みだ。今後は世界で格差がさらに拡大すると予測し、世界的に資産課税を強化すべきとした政策提言も行っている。格差拡大は韓国にとっても重要課題であり、この「予言」をどう受け止めるべきだろうか。

 いま、韓国は深刻な内需不振が続いており、経済政策上の最重要課題は内需活性化だ。だが、現在の消費沈滞は構造的問題をはらんでおり、根本解決は容易ではない。

 韓国銀行の統計では、家計所得の年平均増加率は1990年代の12・7%から2000年代には6・1%に低下し、経済成長による家計所得への恩恵が年々減っている。その過程で格差も生じている。また、KDI(韓国開発研究院)の統計によると、民間消費がGDP(国内総生産)に占める比率も00年の56%から昨年は51%に低下した。KDIは「家計所得が1%下落すると民間消費は0・69%低下する。経済成長の恩恵が家計に反映されなくなったことが大きい」としている。

 家計はそれでなくとも合計1000兆ウォンを超す負債をかかえており、使うお金がなければ消費は萎縮するしかない。KDIは「長引く消費低迷を打開するためにも雇用機会と家計所得を拡大させる努力が必要だ」としているが、所得増大に逆行する非正規職問題の解決も急がれる。また、100兆ウォン以上ものキャッシュをため込む大企業にも是正を求めたい。一方で、輸出大企業に偏った成長戦略の見直しも必要となってきた。政府は、雇用吸収力が大きい中小・中堅企業の育成を打ち出しているが、本腰を入れて取り組むべきだろう。

 「21世紀の資本論」の予測通り、格差拡大は世界的な問題だ。韓国は「漢江の奇跡」で途上国の開発モデルを提示したが、格差問題の解決でもモデルを提示する覚悟で取り組んでほしい。(S)