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2014/04/04

<鳳仙花>◆韓国の付加価値税◆

 日本で消費税率が4月1日から8%に引き上げられ、スーパーなどへの駆け込み需要が話題になった。竹下内閣時代の1989年に税率3%で施行され、今回で2回目の引き上げだ。増税を巡って軽減税率の導入が議論されたが、見切り発車となった。

 韓国でも、日本の消費税に相当する付加価値税が77年から施行されている。日本より10年以上先行しているが、これまで一度も税率の変更はなく、導入当初からずっと10%のままだ。日本と韓国では、何が違っているのだろうか。

 韓国が付加価値税導入に踏み切ったのは、財政の安定基盤を確保し、事業税、商品税、娯楽・食品税など13の税が課されていた、極めて複雑な間接税制を簡素化するためだった。

 導入に際しては、逆進性のデメリットを緩和するため、免税制度を採用し、基本的に生活必需品に対しては非課税扱いとした。併せて、高価品や贅沢品に対する特別消費税を創設した。ここが最大の違いだろう。

 食料品でみると、米や小麦、野菜、肉、魚、果物、牛乳などが無税だ。だが、菓子やパン、ハム、ヨーグルトなど加工食品は課税対象になる。また、電気・ガスは課税されるが、水道は非課税。医療・保健サービス、地下鉄の乗車券も無税となる。新聞・本・雑誌、学費や塾も非課税だ。

 公演など文化・芸術についても、人生に必要なものだという価値観から多くを課税対象外にしている。このように非課税扱いは広範だ。

 付加価値税率が高い欧州諸国では、生活必需品に対して大なり小なり軽減税率を適用している。韓国の政策当局は、導入時にこれを「国際基準」とみなし、一歩踏み込んで免税制度を取り入れた経緯がある。非課税扱いを増やすと税収が減るとの心配もあったが、杞憂に終わった。付加価値税が総税収の20%以上を占め、最も多い税収となっているからだ。

 日本では軽減税率をどうするか、まだ決まっていないが、韓国の経験も参考になるだろう。(S)