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2014/05/02

<鳳仙花>◆社会安全へ国家改造◆

 韓国全国民を悲嘆のどん底に追いやった旅客船沈没事故は、韓国の安全性についての論議を呼び起こしている。朴槿惠政権は「安全」を大きなスローガンに掲げていたが、今回の事故では政府の初期対応や収拾がずさんだったことをさらけ出してしまったからだ。政府機関のある調査報告は「韓国国民は社会における危険な要素に大きく不安を感じており、政府の対応能力にも根本から疑いを持っている」と指摘していたが、その警告も生かされなかった。

 韓国行政研究院が昨年6月に発表した「国民の安心に関する認識調査」によると、災害や事故、交通事故など韓国社会に潜む危険要素について国民の54%が「不安」と回答した。また、韓国保健社会研究院の「危険社会に対する国民の意識調査」によると、数々の潜在的危険に対する政府の対応能力への国民の評価は低く、7点満点の半分にも満たない3・3点だった。危険防止の対策が実行に移されていないという反応だ。

 韓国のマスコミは「政府の無能さがどれだけ大きな罪であるかを如実にみせつけた。腐敗して無能な公務員が国民の生命と安全を担保にあらゆる不法と脱法を放置し、庇護してきたという事実が露わになった」「低質な民主主義は政府の無能力、法・秩序の軽視を煽った」と手厳しい。このような厳しい状況の中、朴大統領は政府対応に問題があったと謝罪し、「国家改造」のレベルで安全対策を講じるため「国家安全処」の新設を打ち出した。

 政府の安全システム強化はもちろん、様々な安全訓練や手続き、法規、執行、教育、非常時での責任者の対応などすべての面で改善が必要だろう。新設する国家安全処も確実な専門家組織にすべきだろう。より実効性を高めるため、国務総理でなく大統領直属にすべきという意見も考慮に値する。

 韓国の最大の長所は、通貨危機の際にも発揮されたが、危機に陥った時に国民の力が結集することだ。今回の大惨事前と後では韓国の安全度は根本的に変わったといえるように取り組んでほしい。(S)