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2014/07/25

<鳳仙花>◆韓国即席めんの父、全仲潤(チョン・チュンユン)氏死去◆

 韓国映画やドラマで、登場人物がおいしそうにインスタントラーメンを食べるシーンを見た人は多いことだろう。インスタントラーメンは今や、韓国人にとってなくてはならない食べ物だ。一年間の消費量は35億2000万個(2012年)で世界7位、一人当たりの消費量で計算すれば世界トップ。輸出額も2億1552万㌦(13年)で、日本、ロシア、サウジアラビアなど124カ国に上る。発祥国の日本と並ぶインスタントラーメン大国である。

 その韓国インスタントラーメン第1号を発売したのが、先日亡くなった三養食品創業者の全仲潤・名誉会長(94)である。全名誉会長は、1959年に日本で初めてインスタントラーメンを食べて、そのうまさに驚き、韓国戦争で祖国が荒廃し、食糧不足が続く中、手軽に食べられる食品として広められると考えた。

 日本の明星食品に協力を依頼し、無償技術供与を受けて2台のインスタントラーメン製造装置を入手。生産を始めて1963年9月15日、ついに韓国第1号のインスタントラーメンを発売した。オレンジ色の包装で重さは100㌘、価格は10ウォンだった。コーヒー一杯が35ウォンの時代である。発売当初は、インスタントラーメンとは何か理解されずに広まらなかったが、麺やスープを韓国人の嗜好に合うように改良し、一食で腹がふくれることが知れ渡ると、爆発的なヒットを記録した。同社は食品大手企業に成長し、現在にいたっている。

 インスタントラーメンを発明したのは、台湾出身で日清食品創業者の安藤(呉)百福氏だ。数え切れない苦労を経験した安藤氏は戦後、試行錯誤を経てインスタントラーメン開発に成功し、その普及に尽力した。安藤氏も、明星食品の経営者も、そして全仲潤氏も、国がまだ貧しい中で、人々の飢えを満たしたいとの思いが底流にあったという。だからこそ、無償の技術供与が実現したのであろう。先人たちの志を偲びたい。(L)