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2014/09/12

<鳳仙花>◆韓国の自殺問題と対策◆

 WHO(世界保健機関)は最近、世界で2012年に推定80万4000人が自殺したとの報告書を発表した。自殺は究極の行為であり、理由は様々あろうが、1年間に80万人もの人が自殺していることに驚きを禁じえない。とても悲しい報告だ。

 WHOはまた、年間1万人以上の自殺者を出している国が11カ国にのぼり、10万人当たりの自殺者数を示す自殺率は11・4人に達したと明らかにし、各国に対策を急ぐよう促している。

 こんな世界の中でも、韓国の自殺問題は深刻であり、年間自殺者は1万7908人に達し、上から8番目に多かった。特に、自殺率は世界平均の2・5倍の28・9人に達し、ガイアナ、北朝鮮に次いで世界第3位の高さだ。中高所得国では、日本の自殺率18・5人をはるかに上回り、世界一高い不名誉な記録となった。

 韓国はもともと儒教の影響もあって自殺者は少なく、20年前の自殺率は8・2人だった。経済成長を遂げて豊かになったはずなのに、なぜ「自殺大国」になってしまったのだろうか。

 大きな要因として高齢者の貧困問題が指摘されている。OECD(経済協力開発機構)調査によると、韓国の高齢者は、100人中45人が平均所得以下の貧困状態におかれている。これはOECD平均の13人の3倍以上だ。高齢者は病気を抱えることが多く、老後の不安で孤立感も強まりがちだ。そこに貧困まで加われば、生き難くなるのかも知れない。事実、韓国の65歳以上の高齢者の自殺率は81・9人と異常に高い。福祉政策担当者も「韓国の自殺形態や年齢別の分布などは他国と明確な差はない。高齢者の自殺率で大きな差が生じる」と問題の所在を認めている。

 韓国では国民年金が1988年に施行され、まだ日が浅く、高齢者の3分の1にしか支給されていない。また、支給額も少ない。それゆえ政府が7月から所得下位70%の高齢者に月額20万ウォンを支給する基礎年金制度を施行したのは一歩前進と評価できるが、まだまだ不十分だ。そうでなくとも、少子高齢化が急速に進んでいる韓国である。高齢者の貧困問題にもっと目を向けるべきだろう。(S)