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2014/11/21

<Korea Watch>張相秀の経営コラム 第7回                                                          張 相秀 亜細亜大学特任教授

  • 張 相秀 亜細亜大学特任教授

    チャン・サンス 1955年韓国生まれ。慶応義塾大学経済学修士、同商学博士。一般財団法人日本総合研究所専門研究員、サムスン経済研究所人事組織室・室長などを経て、現在は亜細亜大学特任教授。

  • 張相秀の経営コラム 第7回

◆サムスン式経営の模索と実現(下)◆

 時間的に余裕があれば内部の人材を育成すればよいが、マーケットに間に合わない場合は外から人材を迎え入れる。サムスンでは「核心人材」と呼ばれる人材達を全世界から探し出し、迎え入れるシステムを整えてある。三顧草廬のタレント・マネジメント(核心人材管理システム)である。人材が揃っていれば経営戦略は達成しやすくなるので、戦略的人的資源管理のアプローチをとっている。要するに、サムスンの長期経営戦略は核心人材の需給計画から始まる。したがって、人材の確保と育成に並みならぬ情熱や時間、お金を投資している。

 まず、人材の確保においては、定例的な新卒社員の公募以外に様々なチャンネルを用いた中途社員の確保活動が通年で行われている。13年には、トータルで2万7000人を採用したという。このうち、大卒は1万人弱を占める。中途社員のなかでも、市場価値の高い、いわゆる「核心人材」と呼ばれる者は国籍を超えた中途社員組であり、S(Super)、A(Ace)、H(High potential)の3つにグルーピングされる。雇用契約は個別に結ばれ、個人別に金銭的・非金銭的な処遇条件は異なる。社長より条件の良い核心人材も少なくないとの報道さえあるくらいである。

 このようにサムスンの人材確保は日本の大手企業と比べるとかなり違う。日本では新卒社員を中心にして、採用し育成していくのが一般的であるが、サムスンでは新卒社員と中途社員を併用して確保し育成していく仕組みである。したがって、サムスンでは自然的にダイバーシティー・マネジメントが確立していく。中途社員の規模は、新卒社員の2割ないし3割である。もちろん、国籍や性別、宗教、学歴などを問わないので、多様な価値観を有する人々が全世界から集まり、徐々にダイバーシティーの溢れる組織風土を作っていく過程にある。

 一方、人材の育成においては、第4回で概略を紹介したように、長期の観点から人材を育成している。地域専門家やサムスンMBAなどのグローバル人材育成プログラムは、李会長が自ら起案した長寿プログラムである。もし、各社のサラリーマン社長に任せたとすれば、すべて短命に終わったに違いない。


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