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2014/12/12

<Korea Watch>張相秀の経営コラム 第8回                                                          張 相秀 亜細亜大学特任教授

  • 張 相秀 亜細亜大学特任教授

    チャン・サンス 1955年韓国生まれ。慶応義塾大学経済学修士、同商学博士。一般財団法人日本総合研究所専門研究員、サムスン経済研究所人事組織室・室長などを経て、現在は亜細亜大学特任教授。

◆グローバル人材の育成と確保◆

 企業の経営目的は永続的な拡大成長にある。その実現過程において働く場を多く作り、働く人々の所得を増やしていく一方で、法人は法人税を、個人は所得税を納めて、国と社会をさらに豊かにしていくのである。サムスンは過去25年間、眼を見張るほどの成果を上げて、経営目的を着実に成し遂げてきたといえる。2014年から勢いを落としているが、このまま沈んでいくか、再浮上するのか、今後の帰趨が注目される。

 なぜ、二十数年間、サムスンの拡大成長は可能であったか。識者によって様々な要因が取り上げられるが、筆者は何より人材第一の経営理念の下、グローバル人材の確保と育成に心血を注いできたことだと考えている。いわゆる、「タレントマネジメント」である。サムスンでは、「核心人材」という言葉で通用する。中長期経営戦略を実現するのに欠かせない人材を、国籍や人種、宗教や学歴などに係わらず新卒採用あるいは中途採用している。新卒は国内中心であるが、中途社員は全世界から通年採用している。特に、新卒社員の場合には、会長の意志に従って、女性を30%、地方大生を35%、貧困層学生を5%、それぞれ公募するようにガイドラインを設けている。このように、新卒採用と中途採用の併用は採用段階からバリュー(価値)の多様性、即ちダイバーシティ・マネジメントを充実化している。

 筆者が10年ほど前に、サムスンのタレント・マネジメント・システムを構築するために、フィンランドのノキア本社を訪れた時のことである。当時は、サムスンとしては優秀なグローバル人材を求めて全世界を飛び回っていた時である。しかし、三顧の礼を尽くしても、なかなか迎え入れることができなかった。しかし、ノキアの場合は全世界から優秀な人材が自ら歩いてくるとの話だった。言わば、グローバル労働市場において、ノキアはアトラクション(魅力)のあふれる組織で、サムスンは魅力の無い組織であった。


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