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2015/09/18

<Korea Watch>揺らぐサムスン共和国 第19回                                                              国士舘大学経営学部講師 石田 賢 氏

  • 揺らぐサムスン共和国 第19回

◆激震の中国市場、行き場失うサムスン◆

 中国経済の成長率鈍化が引き金となって中国証券市場が暴落し、その余波が、世界・日本そして韓国証券市場にも押し寄せ、株式市場を主導するサムスン電子の株価もまた大きく下振れしている。8月末現在、サムスン電子株価は、100万ウォン近くまで下落した。今春150万ウォンを超えていたことからすれば、わずか数カ月間に3分の1ほど目減りしたことになる。

 中国を発信源とする激震は株価にとどまらず、中国市場に強い思い入れをしてきたサムスン電子にとっては、危機感を募らせている。ユーロ安の影響で欧州地域での売上げを落としていることに目を奪われているうちに、中国市場の全体売上げに占める比重は、2013年17・6%、14年16・0%、そして15年上半期15・4%と漸減傾向を辿っているからだ。

 中国市場の売上げ不振に拍車を掛けているのは、サムスン電子のスマートフォンの売れ行きに陰りが見えてきたことが主因である。サムスン電子のスマートフォンは、中国天津と恵州で合わせて年産1億1000万台の生産能力を有するが、中国内需が縮小している中、明らかに過剰能力である。加えてスマートフォンのベトナムシフトにより、天津などでの生産縮小が急ピッチで進んでいる。

 生産調整はサムスン電子1社にとどまらず、天津にサムスンが進出したとき、一緒に進出してきた協力企業は行き場を失っている。ベトナムに同行できるほどの企業体力があれば別であるが、天津に残された多くの韓国中小企業は、中国企業への部品調達に活路を求めようとしている。だが、韓国内であれば何らかの政府の支援が得られるかも知れないが、中国企業への売り込みは、すでに成長している中国の部品企業と互角以上に闘う技術と品質が求められ、苦戦は免れない。

 中国企業と競争するのを避けて韓国に戻ろうとしても、中国市場から撤退するのも至難である。撤退するためには相当の準備期間を設けて取り掛からないと、全財産を失う可能性がある。

 短期的な収益に邁進してきた韓国中小企業が、中国で日本の中小企業が成功したようなニッチ・ビジネスに手を出すとは思われない。中国天津に残された中小企業は、残るも地獄、撤退するのも地獄を味わっている。

 サムスン電子の天津工場の生産調整は始まったばかりであり、これからが本当の苦難をむかえる。8月12日に天津で起こった化学物質倉庫の爆発が、サムスン天津工場の生産縮小に拍車をかけるかも知れない。


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