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2018/04/13

<Korea Watch>輸出減と雇用減に作用

◆現代経済研が報告書、関税戦争の韓国経済への影響を分析◆

 現代経済研究院は、報告書「関税戦争の開始と韓国経済の危機」を発表した。米トランプ大統領は「米国優先主義」をベースに、経済政策を推進し、貿易協定の再交渉、セーフガード措置、輸入関税などの保護貿易主義を本格化している。米国は輸入鉄鋼、アルミニウムに関税を課すことにした。これに反発して、EUは米国産輸入品に対する報復関税を賦課する計画であり、中国は政府系ファンドの米国私募ファンドの投資持分を売却するなど、世界的な貿易戦争勃発の可能性が高まっている。

 本報告書では、国家間の保護貿易主義の強化に伴う貿易戦争発生時に、世界経済と韓国経済に与える影響を調べ、貿易戦争の対応策を模索する。

 過去に貿易戦争が発生した代表的な事例は、大恐慌の時期である。1930年に米国で定められた「スムート・ホーリー法」を発端とする世界的な貿易戦争が発生した。同法は、世界大恐慌の最中の1930年6月に、国内産業の保護を目的に、2万品目以上の輸入品に平均で50%程度の関税率の引き上げを行うことを定めた法律である。多くの国が米国に対抗して報復関税をかけ、当時の米国の輸出入金額が半分以下に落ち込んだ。

 また、主要国の保護貿易主義の強化は、実体経済と金融市場に影響をもたらした。世界の工業生産は、経済がピークであった1929年6月に比べ1932年7月には40%近く減り、株式市場は1932年6月には約70%まで萎縮した。実体経済の萎縮と景気回復の遅れによって主要国で失業者が急増した。

 今後発生する可能性がある貿易戦争のシナリオは2通り。第一のシナリオは、局地的貿易戦争である。米国の輸入全体の関税引き上げと、これに対応したEU、中国の米国産輸入品の報復的関税だ。局地的貿易戦争に相手国間の貿易が減少、これにより世界経済の秩序が乱れる可能性がある。第二のシナリオは、世界貿易戦争である。局地的貿易戦争が拡大し、米国、EU、中国だけでなく、全世界の国々へと関税戦争が拡大する見方だ。

 米国の関税賦課は、過去の事例にある世界大恐慌当時と同様、他国の輸入関税引き上げを誘発する恐れがある。


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