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2021/06/18

<Korea Watch>経済・経営コラム 第84回 脱炭素に向かう日韓、エネ構成の転換㊦                                                       西安交通大学管理大学院 林 廣茂 客員教授

◆国をあげた官民一体の水素戦略を◆

日韓中米欧で「水素」の採算ベースでの事業化の実証実験競争が進行している。以下で、「水素」の事業化のポテンシャル・技術革新・課題を取りあげる。化石エネを輸入に依存し、再生エネに不利な地理的条件を持つ日本と韓国にとって、近未来でのエネルギー自立化への期待がかかっている。

水素の製造方法は三種類に分けられる。①「グレイ(Gray)水素」は、化石燃料から水素を取り出す。製造過程でCO2を排出する。低コスト。現在の水素はほとんどこの方法でつくられている。脱炭素にあまり役立たない。②「ブルー(Blue)水素」は、同じく化石エネを使うが、製造過程でCO2を回収し貯蔵する。カーボン・ニュートラル。石油メジャーや天然ガスの産油国は、ブルー水素の事業化にその存続をかけようとしているといわれている。③「グリーン(Green)水素」。現在は最も高コスト。グリーン水素を、(a)再生エネの電力で「水を電気分解」してつくる、(b)水と太陽光と光触媒で水素を発生させる「人工光合成」でつくる、の二方式。「人工光合成」方式は水素発生の変換効率10%で商用化できるとされる。


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