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2021/03/19

<Korea Watch>経済・経営コラム 第78回 日韓ドラマ・映画にみる敗北の原理①                                                       西安交通大学管理大学院 林 廣茂 客員教授

◆大河ドラマ「麒麟がくる」と映画「KCIA南山の部長たち」◆

 ドラマの主人公・明智光秀と映画の主人公・金載圭KCIA(韓国中央情報部)部長はともに、クーデター後の権力確立に失敗し敗北した。「明智光秀と織田信長」=「金載圭部長と朴正熙大統領」の等式で表わせば、1582年の光秀による本能寺での信長襲撃と1979年の金載圭による安家での朴正熙射殺に、400年の時差を越えて、ほぼ同じ敗北原理の構造が見えてくる。歴史は国の違いを越えて繰り返された。ドラマの主人公・明智光秀は、その最右翼の側近で武将の一人だったが、主君・織田信長を殺害したものの(1582年)、たちまち豊臣秀吉に打ち破られてしまった。近江・坂本へ敗走途上で、落ち武者狩りに遭遇して落命したともいわれる。一方の主人公である第八代中央情報部長・金載圭は、朴正熙大統領の軍事政権の中枢を占める側近中の側近だったが、当の大統領を射殺した(1979年)。そして、内乱目的殺人および内乱未遂罪で絞首刑になった(1980年)。


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