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2012/01/13

<オピニオン>ドラマを通じた日韓交流                                                                 サムスンSDI 佐藤 登 常務

  • サムスンSDI 佐藤 登 常務

    さとう・のぼる 1953年秋田県生まれ。78年横浜国立大学大学院修士課程修了後、本田技研工業入社。88年東京大学工学博士。97年名古屋大学非常勤講師兼任。99年から4年連続「世界人名事典」に掲載。本田技術研究所チーフエンジニアを経て04年9月よりサムスンSDI常務就任。05年度東京農工大学客員教授併任。10年度より秋田県教育視学監併任。11年度名古屋大学客員教授併任。著者HP:http://members.jcom.home.ne.jp/drsato/(第1回から78回までの記事掲載中)

  • ドラマを通じた日韓交流①

    竿燈まつり

  • ドラマを通じた日韓交流

    横手送り盆

◆伝統文化通じて親近感を醸成◆

 2010年6月4日付けの本欄で、大ヒットとなった韓国ドラマ「アイリス」の秋田ロケ地の選定や、その後の観光客の集客効果について記述した。そしてその記事において更なる続編への期待とロケ地に対し、次作で夏の秋田を取り上げて欲しい旨を、その理由とともに記した。早いものでそれから1年半の歳月が流れた。

 テレビで放映された「アイリス」の最後のシーンの続きを紹介する映画が東京で放映されたが、主役のヒョンジュンを狙撃した相手は予想通りの人物だったので思わず納得した。ならば未解明の部分を全て次作にて明らかにしてほしいものである。

 制作会社では次の続編の準備にかかっていると聞いている。秋田のロケ地にも関心をもっていただいているとのことで、ロケ実現への期待も大きい。秋田では県をあげてそのロケ地選定への働きかけを行っている。ロケ地として採用されたらスムーズに実行へ移せるようにと、県の予算に既に計上しているとのことで気合が入っている。

 同じく10年6月11日、秋田の地元新聞に次作アイリスのロケ地を提案したところ、大きな反響があり実行委員会のようなものが発足した。

 それは世界一の花火競技大会として世界的にも知られている「大曲の花火」である。百年を超える歴史ある伝統文化であり、これを活用する提案であった。

 夏の夜空に響きわたる荘厳な花火は夏の終わりを告げ、実りある秋を呼び込みつつ、しかしなぜか哀愁のある時間と空間を形作る。

 秋田の夏の顔といえば、他に秋田市の竿灯祭り、横手市の屋形舟による送り盆、湯沢市の絵燈籠七夕、西馬音内盆踊りなど、芸術的文化であり、幻想的かつ優美な雰囲気を醸し出す多くのお祭りが8月に集中して行われる。

 竿灯は毎年100万人以上の観客を動員するお祭りで、国重要無形民俗文化財になっている。46個の提灯から成る竿燈250本ほどが夏の夜空に立ち上がる姿はドラマとの融合をイメージさせる。

 竿燈は稲穂を表す五穀豊穣の心が込められている。ソウルで毎年開催されている日韓文化交流イベントでも毎年のように採りあげられ、ソウル市民にはかなり浸透しているので親近感があるはずだ。

 横手の送り盆は囃子の音頭とともに屋形舟同士が激しくぶつかりながら、その力強さで魅力を醸し出す。

 270年ほど前の享保の大飢饉のときに、亡き人々を供養する目的で町内が屋形舟を作って柳を添えたり、短冊を吊るしたり、蛇の崎川原にて供養したことに端を発している。

 アイリスには横手の雪祭り「かまくら」が登場し、韓国でも一躍有名になった。

 湯沢の「七夕絵燈籠まつり」は、京都の公卿鷹司家から秋田藩佐竹南家七代目義安公におこし入れされた姫君が、京都への郷愁の想いを五色の短冊に託し、青竹に飾りつけたのが始まりといわれている。

 特に浮世絵美人が描かれた数百個の絵燈籠が通りに下げられるが、夕方からこれらの絵灯篭に一斉に灯がともされるととても幻想的な世界を創り出す。その色彩と優雅さは他には例を見ない特別な七夕となっている。この絵燈籠もソウルの燈籠文化交流に招かれ韓国でPRされている。

 西馬音内盆踊りは日本三大盆踊りのひとつとされていて、国重要無形民俗文化財となっている。踊りの特徴は顔を覆い尽くす黒の頭巾や鳥追い笠をかぶって、しなやかな手つきと仕草が芸術性を高めている。

 いずれにしても冬の秋田が前作のドラマを演出したと同様に、夏の秋田もドラマを演出するポテンシャルが十分にある。冬は美しい景色とピーンと張りつめた静の世界とすれば、夏の秋田はエネルギーと活力、そして絆を終結するダイナミックな動の世界と表現される。

 続編ドラマでの展開に前回登場した秋田が再度登場することで、脈絡の効果は絶大である。


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