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2014/11/14

<オピニオン>韓国企業と日本企業 第22回 地政学的立地を見極めたグローバル戦略                                                    多摩大学経営情報学部 金 美徳 教授

  • 多摩大学経営情報学部 金 美徳 教授

    キム・ミドク 多摩大学経営情報学部および大学院経営情報学研究科教授。1962年兵庫県生まれ。早稲田大学院国際経営学修士・国際関係学博士課程修了。三井物産戦略研究所、三井グループ韓国グローバル経営戦略研究委員会委員などを経て現職。

◆アジアのエネルギーを取り込もう◆

 アジア・ユーラシアダイナミズムを牽引しているのは、北東アジア経済圏である。北東アジア経済圏は、その地政学的優位性を活かしながらプレゼンスを益々高めている。北東アジア経済圏の地政学的優位性は、大きく4つにまとめることができる。1つは、市場化を進めるユーラシア経済圏の中核であり、北東アジアからインドまでを結ぶネットワーク型経済発展の原動力であること。2つ目は、韓日中3カ国が北東アジア経済圏と世界経済をリードしていること。3つ目は、アジアに残された最後で最大のエネルギー資源のフロンティアであること。4つ目は、日本とユーラシア大陸を繋ぐ国際物流拠点であること。これらの地政学的優位性は、絵空事でなく、実際ダイナミックに開花し始めている。アジア企業は、このような地政学的立地のメリットとデメリットを見極め、グローバル戦略を展開している。いかに地政学的優位性を活かし、どのような戦略を描いているか、その実態を探る。

 まずは、1つ目の「アジア・ユーラシアダイナミズムの中核であり、ネットワーク型経済発展の原動力」の実態を紹介する。北東アジア経済圏を最も牽引している環渤海経済圏は、九州、中国華北沿岸部、韓国南西沿岸部の自動車産業と半導体産業を中心に韓日中で国際分業を上手く行っており、相互補完関係が形成されている。また、環渤海経済圏の人口が4億人に上ることから、巨大な消費市場としても急成長している。環渤海経済圏の推進母体は、都市の自治体であり、企業である。この地域では、韓日中の約30都市が中心となり、「都市間ネットワーク」を形成し、ヒトやモノの交流を活発化させている。欧州では、すでに「バルト海都市連合」や「地中海アーチ」などが「都市間ネットワーク」を通じて、国家を超えたビジネスネットワークを形成し、共存共栄を図っている。「バルト海都市連合」とは、バルト海周辺10カ国の100以上の都市のネットワーク組織。バルト海地域の民主的・経済的・社会的・文化的および環境面で持続可能な開発を目指し、メンバー都市が持つ可能性を活用する自発的で行動的なネットワークである。「地中海アーチ」とは、イタリア(ミラノ、ローマ、ナポリ)、南フランス(マルセイユ)、スペイン(バルセロナ、バレンシア)、ギリシャなどを中心とした多文化共生地域であり、多文化で活躍できる創造力のある人材やグローバル企業を輩出している。環渤海経済圏は、このアジア版となるかが、今後注目される。

 環日本海経済圏は、日本海を取り囲む日本の日本海側、ロシア極東、モンゴル東部、中国東北部、北朝鮮北部、韓国東部などの地域から形成される人口2億2000万人を有する経済圏構想である。これは、国連開発計画(UNDP)の主導で1990年頃から開発が進められているが、決して上手くは行っていない。しかしこの地域の地方自治体や企業は、常にこのような経済圏構想をもって行政やビジネスを行っており、それなりの成果を上げている。


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