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2014/12/12

<オピニオン>韓国企業と日本企業 第23回 辺境こそがグローバルビジネスの最先端                                                    多摩大学経営情報学部 金 美徳 教授

  • 多摩大学経営情報学部 金 美徳 教授

    キム・ミドク 多摩大学経営情報学部および大学院経営情報学研究科教授。1962年兵庫県生まれ。早稲田大学院国際経営学修士・国際関係学博士課程修了。三井物産戦略研究所、三井グループ韓国グローバル経営戦略研究委員会委員などを経て現職。

◆ネットワーク型経済発展の原動力に◆

 北東アジア経済圏の地政学的優位性は、「アジア・ユーラシアダイナミズムの中核であり、ネットワーク型経済発展の原動力」である。北東アジア経済圏では、国と国の狭間、いわゆる辺境を中心に竹の子のように経済圏が誕生している。特に注目したいのが、環渤海経済圏、環日本海経済圏、大メコン経済圏、新極東経済圏、ヒマラヤ経済圏、新シルクロード経済圏、モンゴル経済圏の7つの経済圏である。ただ環渤海経済圏・環日本海経済圏・大メコン経済圏の概念は定着しつつあるが、新極東経済圏・ヒマラヤ経済圏・新シルクロード経済圏・モンゴル経済圏はどこまでもビジネス上の仮説である。まさしく辺境こそが、世界経済の最先端と言っても過言でない。したがって辺境の地域や人の視点が、グローバルビジネスにおいて大変、重要になってくる。

 前号で紹介した環渤海経済圏と環日本海経済圏に引き続き、今号は大メコン経済圏と新極東経済圏の実態を分析する。大メコン経済圏(人口3・1億人)は、タイ、カンボジア、ラオス、ベトナム、ミャンマーの5カ国と中国雲南省、広西チワン族自治区の2省にまたがるメコン川流域を開発する経済圏構想である。構成国各国の経済や軍事面での思惑や利害がさまざまで決して一枚岩ではないが、中長期的には相互依存体制を確立すると見られており、日米欧中韓の企業が挙って同地域戦略に着手している。

 この経済圏構想は、アジア開発銀行(ADB)の主導により1992年からこれらの国で経済開発協力(GMS)プログラムとして開始された。農業、エネルギー、環境、人材育成、投資、電話通信、観光、交通インフラ、運輸・貿易の9分野を中心に開発を行っており、南北・東西・南部の3つの経済回廊の開発がその大きな特徴である。南北経済回廊は、中国雲南省の省都である昆明からラオスまたはミャンマーを経由し、タイのチェンライと首都バンコクまでを結ぶ約2000㌔の国際道路。東西経済回廊は、ベトナムのダナン港からラオスのサバナケット、タイのムクダハンを経由し、ミャンマーのモーラミャインまでを結ぶ約1500㌔の国際道路。南部経済回廊は、ベトナムのホーチミンからカンボジアのプノンペンを経由し、バンコクまでを結ぶ約1000㌔の道路で、第2東西経済回廊とも呼ばれている。


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