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2014/07/18

<オピニオン>転換期の韓国経済 第54回                                                       日本総合研究所 向山 英彦 上席主任研究員

  • 日本総合研究所 向山 英彦 上席主任研究員

    むこうやま・ひでひこ 1957年、東京生まれ。中央大学法学研究科博士後期課程中退、ニューヨーク大学修士。証券系経済研究所などを経て、2001年より(株)日本総合研究所勤務、現在調査部上席主任研究員。中央大学経済学部兼任講師。主な著書に「東アジア経済統合への途」など。

  • 転換期の韓国経済 第54回

◆日韓を取り巻く環境◆

 日本と韓国との関係改善の糸口がみえないなかで、両国を取り巻く環境が最近になり大きく変わってきている。最近注目すべき動きとして、以下の3点が指摘できる。

 第1は、日本と北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)との間の動きである。今年5月末の日朝合意を受けて、北朝鮮が拉致被害者の再調査を行う特別委員会を設置した一方、日本政府はそれを評価し、北朝鮮に対する独自制裁の一部解除を決定した。これには、①人の往来の一部を解除する、②北朝鮮に対する支払いの届け出義務の下限額を他国並みとする、③北朝鮮籍船舶の入港禁止の一部を解除する(人道目的のための船舶入港を認める)ことが含まれる。

 厳しい経済環境に置かれている北朝鮮にとって、拉致被害者の再調査を進めることにより、万景峰号の入港と輸出全面禁止措置の解除につなげていく狙いであろう。

 さらにその先に期待するのが、国交正常化と日本からの経済協力である。2002年の日朝平壌宣言に、「双方は、日本側が朝鮮民主主義人民共和国側に対して、国交正常化の後、双方が適切と考える期間にわたり、無償資金協力、低金利の長期借款供与及び国際機関を通じた人道主義的支援等の経済協力を実施し、また、民間経済活動を支援する見地から国際協力銀行等による融資、信用供与等が実施されることが、この宣言の精神に合致するとの基本認識の下、国交正常化交渉において、経済協力の具体的な規模と内容を誠実に協議することとした」と記されているように、日本と韓国との国交正常化(1965年)に準じた経済協力が実施されるものと予想される。


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