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2015/11/27

<オピニオン>韓国経済講座 第180回                                                        アジア経済文化研究所 笠井 信幸 理事

  • アジア経済文化研究所 笠井 信幸 理事

    かさい・のぶゆき 1948年、神奈川県生まれ。国際開発センター研究員、ソウル大学経済研究所客員教授、秀明大学大学院教授を経てアジア経済文化研究所理事・首席研究員。

  • 韓国経済講座 第180回

◆女性に優しい?◆

 韓国と日本はともに冷たい。スイスの民間研究機関「世界経済フォーラム」の世界145カ国を対象にした男女平等の度合いを比較した2015年版のランキングによると、韓国の総合順位は115位であり、点数は0・651だった。日本は101位で前年より三つ上がったとはいえ低水準である。ランキングは雇用や教育機会、健康、政界進出などについて、男女格差を点数化して比較し、最高点数は1点、最低点数は0点で表している。この内、「同じような仕事をする時の賃金平等度」という質問項目では、韓国は0・55点と116位だった。さらに、賃金平等項目の「経済活動の参加と機会」部門では、125位(0・557点)とこれも低迷している。

 経済協力開発機構(OECD)によれば、韓国の男女賃金格差は12年基準で34会員国中、男女賃金格差が37・4%と最も格差が大きいという。つまり、男性労働者の賃金を100とする時、女性労働者の賃金はそれより37・4%低い62・6%であることを示しているのだ。ちなみに、日本は26・5%、米国は19・1%の格差で、格差の少ない国はノルウェー6・4%、ニュージーランド6・2%などとなっている。韓国の男女賃金格差の順位は、OECDが男女の賃金格差統計を調査し始めた00年から12年まで13年間連続して1位であり、格差改善が相対的に進んでいないことを示している。韓国は00年では40・4%の男女賃金格差であったものが12年には37・4%に縮小したが、それでも13年間で3%縮小に留まっている。OECD平均は、00年19・2%から11年14・8%へ4・4%縮まる間に、韓国は3%の縮小と、OECD平均との格差が1・4%さらに広がった格好だ。日本は00年の33・9%から12年には26・5%に減り、7・4%縮小し、米国も同じ期間に23・1%から19・1%へ4%縮小している。

 韓国の格差縮小速度が遅い理由は様々な指摘がある。たとえば、性別、雇用形態別賃金差別が大きく、労働条件が最も悪い女性非正規職の比重が大きいためで、14年3月基準で非正規職全体(822万9000人)の53・8%にあたる442万8000人が女性であるという。また、韓国雇用情報院「雇用動向ブリーフ(14年10月)」によると、男女別の正規職・非正規職の比率は男性正規職84・8%、非正規職15・2%であるのに対して、女性正規職76・8%、非正規職23・2%とこれも男女格差が指摘される。韓国雇用情報院は同じ資料の男女賃金格差の分析を行っている。それによると男性正規職の時間当たりの賃金を100とした場合、女性正規職の時間当たり賃金は69・0に過ぎず、非正規職となると、男性の日雇い労働者87・1%、派遣労働者65・3%であるのに対して女性の日雇い労働者55・0%、派遣労働者57・6%と男性正規労働者の約半分強程度と賃金比率は更に低くなる。

 OECD加盟国中男女賃金格差が最も大きいことを上に述べたが、掲げた表はかなり説得力を持つと考えられる。まず男性と比べた女性の特性として低い賃金水準の理由は「勤続年数に起因する部分」が25・7%、「年齢に起因する部分」12・0%、「学歴に起因する部分」11・4%などが挙げられ、これらは日本とも共通する部分であろう。

 しかし、グラフ左部分は比較的韓国に強く表れる理由かも知れない。16・6%を占める「男性賃金プレミアム」とは男性職員がその生産性以上に賃金を得ているとされる要因であり、格差の最も大きな要因である「女性損失部分」は31・3%の比率を占めており、女性であるという理由だけで男性より賃金が低く抑えられる、いわば企業文化的要因である。このように韓国社会、企業文化さらに言えば国民性に強く滲み込んだ理由であるがゆえに、これを改善することはかなり困難であると考えられる。


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