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2016/01/01

<オピニオン>アナリストの眼                                                             アジア経済文化研究所 笠井 信幸 理事

  • アジア経済文化研究所 笠井 信幸 理事

    かさい・のぶゆき 1948年、神奈川県生まれ。国際開発センター研究員、ソウル大学経済研究所客員教授、秀明大学大学院教授を経てアジア経済文化研究所理事・首席研究員。

◆対外環境不安続く、内需拡大策に期待◆

 韓国は、2014年第1四半期(1~3月)に対前年度比GDP成長率が1・1%を達成して以来15年第3四半期(7~9月)に久しぶりに1・3%と1%を上回ったが、この間0%台の低迷を続けてきた。内外機関の2016年のGDP成長率予測は年率2%後半~3%前半が多く、その見通しは明るいとはいえない。

 一昨年0%台成長に下落した契機となったのが14年4月16日に起こった世越号沈没事件に起因した家計消費縮小による内需萎縮現象だ。外需萎縮も円安・ウォン高、ヨーロッパ市場の不確実性、中国の景気後退、新興国の通貨不安など輸出圧力が続いている。

 こうした中で、再び内需縮小に拍車をかけたのが15年5月11日に韓国で初の輸入症例が発生した中東呼吸器症候群(MERS)による社会活動不安だ。感染拡大で外国人の韓国旅行のキャンセルが相次ぎピーク時は韓国人も外出を控え、数千校の学校が休校し、映画館、百貨店、遊園地の入場者などが40~70%急減したという。


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