ここから本文です

2018/12/07

<オピニオン>曲がり角の韓国経済 第38回 世帯間の所得格差が過去最高水準に拡大                                                     ニッセイ基礎研究所 金 明中 准主任研究員

  • ニッセイ基礎研究所 金 明中 准主任研究員

    キム・ミョンジュン 1970年仁川生まれ。韓神大学校日本学科卒。慶應義塾大学大学院経済学研究科前期・後期博士課程修了。独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て現在、ニッセイ基礎研究所准主任研究員。

◆真に国民のためになる経済政策の実施を◆

 文在寅政府の所得主導成長論が壁にぶつかっている。所得主導成長論は、家計の賃金と所得を増やし消費増加をもたらし、経済成長につなげるという理論で、ポスト・カンズ学派のマル・ラヴォア教授(カナダ・オタワ大)とエンゲルベルト・シュトックハマー教授(英キングストン大)教授の「賃金主導型成長」に基づいている。

 文在寅政府は韓国に零細自営業者が多い点を考慮し、賃金の代わりに所得という言葉を使い、最低賃金の引き上げや社会保障政策の強化による所得増加と格差解消を推進してきたものの、なかなか期待ほどの結果が出てこない。

 韓国統計庁が11月22日に発表した「2018年7~9月期家計動向調査(所得部門)」によると、世帯間の所得格差は過去最高水準に広がっている。全世帯を所得により5段階に分けたデータを確認したところ、所得最下位20%世帯の1カ月平均名目所得は131・8万㌆で前年同期に比べて7・0%も減少した。名目所得が減少したのは3 期連続のことである。一方、所得最上位20%世帯の1カ月平均名目所得は前年同期に比べて8・8%増の973・6万㌆と11期連続で増加した。低所得層の所得が減少した反面、高所得層の所得は増加した結果、所得階層間の格差はさらに広がった。

 韓国政府の狙いとは異なり、所得格差が広がっている理由としては低所得層の勤労所得が大きく減少した点が挙げられる。つまり、18年7~9月期における所得最下位20%世帯の勤労所得は47・9万㌆で1年前に比べて22・6%も減少したことに比べて、所得最上位20%世帯の勤労所得は730・2万㌆で11・3%も増加した。所得最下位20%の勤労所得が20%以上減少したのは、統計庁が関連統計を作成し始めた03年以降初めてのことである。

 韓国政府は低所得労働者や零細自営業者の所得を引き上げて経済を成長させる目的で、


つづきは本紙へ


バックナンバー

<オピニオン>