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2018/03/02

<オピニオン>アジアのハブめざすセマングム                                                              裵好烈・セマングム開発庁投資戦略局長に聞く

  • 裵好烈・セマングム開発庁投資戦略局長

    ベ・ホヨル 1967年生まれ。東亜大学校行政学部経済学修士、フランス国立農村工学水資源森林学校修士。農産物流通局食品産業課、農村政策局農村政策課長、消費安全政策官室消費安全政策課長、農林畜産検疫本部仁川空港地域本部長などを経て、2016年11月30日からセマングム開発庁投資戦略局長。

  • アジアのハブめざすセマングム                                                              裵好烈・セマングム開発庁投資戦略局長に聞く

 韓国西海岸に広がる広大な干拓地、セマングム(新萬金)。投資促進のため来日したセマングム開発庁の裵好烈・投資戦略局長に開発構想、投資戦略などを聞いた。

◆世界に通じる物流の中心地に◆

 ――セマングムの開発構想をお聞かせください。

 1991年から大規模な干拓事業を開始し、全羅北道・群山から扶安までの地域に33・9㌔㍍の世界最長の防潮堤を築き、干拓地291平方㌔㍍と湖沼118平方㌔㍍を造成する。ソウルの75%にもなる広大な面積だ。2020年まで総面積の72・7%を開発する計画で現在着々と進んでおり、今年は先導地域である産業・研究用地と観光レジャー用地を対象に投資誘致活動を本格化している。

 開発コンセプトは、産業、観光、農業と自然生態系の環境を調和させた複合経済都市を築き上げることにある。アイデアと最先端の技術を取り入れた、イメージそのままの都市実現をめざしている。防潮堤により、内部の海面は穏やかであり、一定の水位を保つ巨大な湖と市街用地が存在し、ベネチアやアムステルダムのような「水の都」としての開発も可能だ。

 セマングムは、①産業研究用地41・7平方㌔㍍②観光レジャー用地36・8平方㌔㍍③国際協力用地52・0平方㌔㍍④農業バイオ用地94・3平方㌔㍍などを造成する一大計画で、これらの土地を手頃な価格で、クリエイティブかつ柔軟に利用できるように支援している。

 ――セマングム開発の事業主体は。

 韓国の中央政府が直接推進している。2012年に「セマングム特別法」を制定し、事業を総括・管理する「セマングム開発庁」を設置した。国務総理を委員長とするセマングム委員会を介して様々な部署と緊綿密な協力体制を構築し、事業の成功をめざしている。

 昨年5月、文在寅政権の発足直後、大統領が最初の国策事業地域としてセマングムを訪問するなど、政府が事業成功のための強い意志を明確にした。今年は「セマングム開発公社」が設立され、事業に拍車がかかっている。

 ――海外投資のためのインセンティブは。

 セマングムの事業用地は、外資系企業向けに最大100年間賃貸可能だ。この賃貸特例は、外国企業だけでなく、韓国企業との合弁企業にも適用される。さらに、法人税と所得税を最大5年間100%、その後2年間50%減税する破格的なインセンティブを提供している。また、セマングム産業団地は「総合保税区域」に指定され、関税が免除される。輸入品の保管・製造・加工を1つの場所で行えるメリットもある。

 このような企業優遇制度を受け、日系の東レ尖端素材、ベルギーの先端化学企業ソルベイをはじめ、化学大手のOCIなどの韓国企業も参入している。現在、世界各国の企業を対象に投資相談が進められている。

 ――物流基盤の構築は。

 現在、セマングム周辺には群山国家産業団地、自動車機械部品クラスター、国家食品クラスター、造船所が存在している。また、セマングムと韓国内陸部を結ぶ物流や交通網だけでなく、海外にアクセスするための新たな港湾や国際空港も建設される予定だ。

 操業中の群山港(27バース)をはじめ、


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