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2019/02/15

<オピニオン>転換期の韓国経済 第108回                                                       日本総合研究所 向山 英彦 上席主任研究員

  • 日本総合研究所 向山 英彦 上席主任研究員

    むこうやま・ひでひこ 1957年、東京生まれ。中央大学法学研究科博士後期課程中退、ニューヨーク大学修士。証券系経済研究所などを経て、2001年より(株)日本総合研究所勤務、現在調査部上席主任研究員。中央大学経済学部兼任講師。主な著書に「東アジア経済統合への途」など。

  • 転換期の韓国経済 第108回

◆懸念されるチャイナショックの再来◆

 昨年の韓国の実質GDP成長率(速報値)は2・7%であり、今年は2%台前半にとどまるものと予想される。民間消費は堅調に推移するであろうが、投資の回復が遅れ、輸出が減速する可能性が高いからである。

 輸出額(通関ベース)は昨年12月、今年1月と前年水準を下回った。注意したいのは、対中輸出額が昨年11月以降前年割れになっていることと、半導体の輸出額が12月に前年同月比8・3%減、今年1月に同23・3%減と、急減し始めたことである。

 中国は韓国にとって最大の輸出相手国であり、半導体は最大の輸出品目で昨年秋口まで高い伸びを続けてきただけに、今後の動向に注意が必要である。

 韓国ではグローバル化が進む過程で、貿易面でも中国依存が強まった。対中輸出依存度は13年をピークに一旦は低下したものの、昨年は中国以外の輸出が伸び悩んだため、過去最高の26・8%になった。

 韓国の中国向け輸出の多くは中間財であるため、中国の輸出減速に伴い生産が鈍化すれば、その影響を強く受けることになる。実際、2000年代以降の中国の輸出額と韓国の対中輸出額は連動しており、中国の輸出額が前年割れになると、韓国の対中輸出額も前年割れとなった(上図)。

 ちなみに、昨年の対中輸出上位5品目(HSコード4桁)は、①集積回路、②液晶パネルなど、③環式炭化水素、④石油、歴青油など、⑤集積回路・ディスプレイ装置の製造機械などとなっている。

 中国では米中貿易摩擦の影響で、昨年12月の輸出額が前年割れとなった。貿易摩擦の解消が遅れれば、世界経済の減速も進み、今年の輸出額が前年比マイナスになる可能性がある。これにより、韓国が再びチャイナショックに見舞われる恐れがある。

 半導体は昨年の対中輸出額の約25%を占めた。韓国のメモリ輸出額の約8割が中国・香港向けである。この背景には、中国に半導体ユーザーが集積しており、メモリの最大市場となっていることがある。

 最近の半導体輸出額の減少要因には、世界的なスマホ販売の鈍化や米中貿易摩擦による輸出の減速などが指摘できる。需要の鈍化と昨年来の価格下落が重なり、半導体輸出額の急減につながっている。

 さらに、中国が「中国製造2025」にもとづき、半導体の自給率を20年に40%へ引き上げる目標を立てて、今年から量産化を開始するのも、韓国にとっては脅威である。安定的に量産できるまでにはクリアすべき条件が多いため、韓国の優位性はしばらく維持できるとはいえ、対応が急がれる。

 半導体は近年、韓国の輸出だけでなく、設備投資も牽引してきただけに、輸出額の減少が続けば、その影響は大きい。すでに一部の半導体メーカーでは設備投資を先送りしており、


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